学園祭×女子大 〜シリーズ「女子大で学ぶ」⑨
2024/12/20
シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第9回は、女子大学で行う学園祭についてです。
学園祭(りんどう祭)が終わったばかりの10月、学園祭実行委員長のTさん(住空間デザイン学類3年※1)と副委員長のHさん(人間関係専攻3年※2)にお話を聞きました。
――学園祭(りんどう祭)の成功おめでとうございます。お疲れさまでした!
2人は1年生から学園祭実行委員をやっているけれど、まずは、どうして実行委員に入ろうと思ったのか教えてください。
Hさん(副委員長):先輩に説明会に誘っていただき参加したのがきっかけです。オープンキャンパスのときにお世話になった先輩もいて、「あのときの先輩ですよね」って感動の再会を果たして。先輩たちがすっごいキラキラしてたから。
Tさん(委員長):私はそもそもあんまり入る気はなかったんですよ。でも、仲良くなった子が学祭入るっていう話を聞いて、え、何それ? 面白そうってなって。1年間やってみて、先輩方がすごい働いてくれたし、優しくしてくれたので続けてみました。自分なりの挑戦です。
――そこから続けて、委員長と副委員長になったわけだけれど、予想していた?
H:全くやると思ってなかったです。
T:私も。
H:でも、2年生で1回リーダーになる人はリーダーになって、そのリーダーの中からまた選ばれた子は幹部に行くって形です。リーダーになった時点でちょっと覚悟はします。
――委員長と副委員長はどうやって決まったの?
H:わたしたちの代は幹部候補が4人しかいなかったので、必然的に、その4人が委員長、副委員長、会計、総務に就かなくてはいけなかったので、話し合いで決めました。それで、最終的に私たち2人のどちらかがが委員長と副委員長にって。
―自分がやりたいとか、やりたくないとかはなかったの?
T:そういうのはなくて、逆に、どうすればこのメンバーが一番安定して組織として続けられるのかを考えました。先輩方からは、委員長がとりあえず、精神的に強い人がいいよ、委員長がつぶれないことが第一だからっていうアドバイスをいただきました。
―委員長は精神的に強いの?
T:いや、なんかのほほんとしすぎてるだけなんですけど笑。
H:でもやっぱり委員長が、ここぞっていうときはちゃんと言ってくれるから、みんなピシッとすると思います。
―なるほど。そうか、みんなが納得いって存続しやすい形を選んだらそうなったんだね。副委員長はどうやって決めたの?
H:委員長が近くにいてほしい人を選んだらいいと思うって言ったら、私って言ってくれたんです。
T:はい。私が言いづらいときはズバッと言ってくれるんですよ。だから心強いし、安心感もあったので。
―2人はもともとリーダータイプなの?
T:いや、一番上に立ったことはなかったです。
―中高生のときから、委員会や部活には積極的な方だった?
T:もともと中高一貫の共学校で、中学のときは生徒会で議長をやっていました。部活もやっていました。
―共学だと生徒会長は男子生徒がやることが多い?
T:私が在学中の3年間の生徒会長は男子でしたね。ただ、副会長の男女比は半々でした。
H:私は高校のときは野球部のマネージャーやっていました。もうずっと部活に行ってました。
―もし、共学のときだったら、私にはリーダーは回ってこなかったんだろうなっていう感覚はある?
H:あると思います。共学だったらやってなかったかもしれない。
――実行委員と授業の両立は大変だった?
T:住空間は課題とかが多くて、授業との両立が大変だったけど、自分なりに区切りをつけていました。
H:たぶんみんな少しは難しいと感じていると思います。連絡を早く返さなければいけない状況があるなかで、なかなか連絡がとれないこともあります。みんな学業やアルバイトもあって忙しいので。企業様にも関わっていただいているので、長くお待たせするわけにはいかないから、今は学祭を優先しなければという状況もあります。
りんどう祭を終えて
左:委員長Tさん(住空間デザイン学類3年)
右:副委員長Hさん(人間関係専攻3年)
―リーダーとしての大変さは感じた?
Hさん:はい。人を動かすって本当に難しいなって。学園祭実行委員会って、ボランティア活動になるので、役職ついてもらって、すごく仕事を頑張ったとしても、なにか報酬が得られるわけでもないし、サボったからといって、なにかペナルティがあるわけでもありません。そんななかで、コミットメントの仕方には個人差があるから、仕事を頼むのが難しかったです。催促の連絡をしたり、ズバッと言わなきゃいけなかったりすることも多かったから、自分自身でも私がいたらミーティングしづらいだろうなとか結構考えちゃいましたね。
T:私は結局、人が考えていることはわからないから、実際に何か頼んでもやってもらえるのかわからないから、最終的には自分がある程度全部把握しておかないとっていう不安がありました。いざとなったら自分が動けないといけないので。あと、できるだけみんなが今どこで困っているかを聞くようにしていました。
―女子大ならではの大変さを感じたことはあった?
T:私、模擬店・展示部署を2年やって、主にテントとか重いものを運ぶことが多くて、女子だけだと思ったより時間がかかることはありました。でも、職員の方とかが本当に優しくて丁寧にサポートしてくださいました。先生方もみんな優しくて、周りにサポートをきちんと求めることで問題なくやり遂げられました。
―3年間本当に大変だったと思うけど、実行委員をやって学んだことはある?
H:私は、協賛・広告部署で、企業様や外部の方とのかかわりが多かったので、社会に出ても役に立ちそうなことが身についたと思います。会社の代表の電話番号を調べて電話するところからはじまって、協賛の担当の方につないでいただいて、メールアドレスを聞けたら、今度企画書を送って……って。リーダーとしても、請求書や契約書などの書類を作ることが多くて、そういうスキルが身についたかなって思ってます。
――今、学祭が終わってみて一番思うことはなに?
T:やりきったーって感じ。
―やってよかった?
H:よかったです。
T:うん、楽しかった。
H:最後、みんなで泣いて終わったのがすごいよかった。広報の方がそのときの写真を撮ってくださっていて。毎年フィナーレが委員長だけの挨拶で終わるんですけど、今年は幹部4人全員で台に上がって「ありがとうございました」って挨拶したんです。そのあと、壇上から降りて“おわりました”ってときに、委員長が初めて泣いたんです。1回も涙を見せたことなかったのに。なんかその瞬間、ああ、もうなんか、耐えてたこともいっぱいあっただろうし、ここまで最後まで誰にも涙を見せない姿が本当の委員長の器なんだなって思って。そのときの写真がこれなんです。
委員長:Tさん(住空間デザイン学類3年)
副委員長:Hさん(人間関係専攻3年)
会計:Yさん(住空間デザイン学類3年)
総務:Kさん(日本文化専攻3年※3)
―すごくいい写真! リーダーシップとチームワークがうまくいったんだね。やっぱり最初に、“みんながうまくいくリーダー”を選んだことが成功の秘訣だったのかな。
H:はい。チームワークも大事だし、だから、みんながすごく頑張ったことはきちんと認めあって褒めあってっていうのが大事なのかもしれないです。
(聞き手:大貫 恵佳)
- ※1 「空間デザイン学科」の前身となる「人間総合学群 住空間デザイン学類」の先輩です。
- ※2 「人間関係学科」の前身となる「人間総合学群 人間文化学類 人間関係専攻」の先輩です。
- ※3 「国際日本学科」の前身となる「人間総合学群 人間文化学類 日本文化専攻」の先輩です。
“シリーズ「女子大で学ぶ」”について
このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。