【人間関係学科】研究×女子大 〜シリーズ「女子大で学ぶ」④

シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第4回は、女子大で研究をすることについて考えます。

私は共学の4年制大学を卒業後、女子大学の大学院で学びました。卒業論文で取り上げた哲学者フッサールの専門家がいて、なおかつ家庭の事情による通学条件に合う大学院を探した結果受験しましたが、女子大学であることを受験のときはとくに意識しませんでした。

女子大学であることを意識したのは修士課程を修了し、その先の博士課程を受験するときです。1人60分の口頭試問の順番を待つ控え室に、かなり年上に見える受験生がいました。入学式で再会したので思い切って声を掛けると、その大学の修士課程を修了した後、研究を中断して出産・子育てをし、子どもが中学生になったのを機に改めて論文を書いて受験したことがわかりました。

その人の志や努力に大いに感心しましたが、後で思い返して、「このような人を現役最短コースで受験する学生と同列に審査した大学はなんて素晴らしいのだろう」と背筋が震えました。当時、共学の大学院の女性合格者数はきわめて少ない傾向がありました。

大学院を出た後のポストがあまりにも少なく、女性が研究者になることは男性以上に困難とされ、女性に対する大学院教育は無駄になるという考えが社会にも大学にも広く見られました。そうした中で女性のライフコースをハンディキャップととらえず当たり前のこととして扱うのは女子大学ならではだと気が付きました。

いまでも研究者数のジェンダーギャップは大きく、よく話題に上る理系も私の専門の哲学も同じです。しかし、本学人間関係学科の専任教員は半分以上が女性です。これは全国的にみても驚異的な達成率です。さまざまなライフコースをたどる大学教員と接することは、そこで学ぶ学生にもきっと大きな影響があるでしょう。

  • 研究成果を次世代の女性たちへ
    研究成果を次世代の女性たちへ

(石田かおり)


“シリーズ「女子大で学ぶ」”について

このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。

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