【人間関係学科(仮称・設置構想中)】キャリア×女子大 〜シリーズ「女子大で学ぶ」②

シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科(仮称・設置構想中、以下同)の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第2回は、キャリアについて女子大で学ぶ意義を考えます(注)。

女子大は女子学生のみで構成された大学です。共学化が進む中、「社会は男女で成り立っているので、女子大は不利では?」という疑問もありえます。そこでこの独特の環境が、女性のキャリア形成にどう影響するか考えてみましょう。

  • 女子大について学生たちでグループワーク
    女子大について学生たちでグループワーク
  • 授業外での集まり
    授業外での集まり

まずキャリアとは、人生で積み重ねるすべての経験を指します。かつては学歴や職歴などの「見える」側面が重視されていましたが、近年では価値観や自己理解といった「見えない」側面も人生の満足度を高めるとして重視されています。

これをふまえると、「見える」女子大の特徴は、女子大独自の教育を受けた女性の多さです。日本は経済や政治面での女性登用の少なさから、男女格差を示すジェンダーギャップ指数で118位(2024年現在)と低ランクに位置しています。そのような背景で、これまで抜け落ちていた「女性」目線のアイデアを期待し、女子大で専門性を深めた人材に注目する企業や組織は多くなっています。異性がいない環境では、女性がリーダーシップを発揮しやすい利点もあり、その経験が採用に有利にはたらくこともあります。

一方で、「見えない」女子大の特徴は、同性内での多様性です。性別を事例にとれば、異性のいない環境を好む学生もいれば、異性の存在を望む学生もいます。同性であっても考え方や生き方はさまざまで、この違いから生まれる対話や議論は、複雑な現代社会への理解を深め、性別の枠を越えて「個人」として人を理解する方法を学ぶ機会になるでしょう。

以上から、女子大での生活は「見える」「見えない」キャリアの両方から、女性のキャリア形成を後押ししてくれると私は考えています。この話題に関心をもたれた方はぜひ、一緒に議論をしましょう。

(小菅清香)

  1. 注)「キャリア心理学」「職業選択論」「ライフコースの心理学」人間関係学科 専門科目 ※仮称・設置構想中のため、内容が変更になる可能性があります。

“シリーズ「女子大で学ぶ」”について

このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。

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