恋愛×女子大 〜シリーズ「女子大で学ぶ」⑥
2024/10/08
シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第6回は、恋愛について女子大で学ぶ意義を考えます。
駒沢女子大学には「恋愛の心理学」というユニークな授業があります。
授業では、なぜ恋をするのか、どのような人に惹かれるのか、倦怠期はなぜ訪れるのか、失恋への対処法などの恋愛に関連するテーマを扱います。受講生は毎年この授業を心から楽しんで受講してくれていますが、この授業の中でも特に力を入れているのが、デートDVについてです。
デートDVの被害者は男女ともにいますが、その多くは女性です。身体的な暴力による被害を受けたことがない学生でも、精神的な暴力に遭ったことがある学生は受講生の中にも結構います。
デートDVの背景にはさまざまな要因があるとされますが、その中に男性優位の性役割意識があります。このことを授業で学んでいくと、学生たちは今まで気づいていなかった女性として「自己を大切にする視点」に気づくことができるようです。実際に、授業によって新たな気づきを得たことで、恋愛観が変わったと感想を寄せてくれる学生もいます。恋愛対象が誰であっても対等な関係性を築いていくことが、デートDVを予防する第一歩になります。
共学校でもこうした内容を学ぶことはできますが、加害者と被害者という立場で男女が分断され、そこから議論が進まなくなってしまうことも多いです。それを思うと、女子大ならではの学びがこの授業の中に隠れている気がしてなりません。
(倉住友恵)
“シリーズ「女子大で学ぶ」”について
このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。