【人間関係学科(仮称・設置構想中)】ジェンダー×女子大 ~シリーズ「女子大で学ぶ」①
2024/05/20
シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科(仮称・設置構想中、以下同)の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第1回は、ジェンダーについて女子大で学ぶ意義を考えます(注)。
ジェンダーについて学べる大学はたくさんあります。素晴らしい先生、あるいはわかりやすい教材があれば、どこでだってジェンダーについて学ぶことができる。もしかしたら、あなたはそう思っているかもしれません。
しかし、実際には「誰と」学ぶかもとても重要です。教室にいるのは、発言権をもっているのは、リーダー格の子は、マジョリティは誰なのか。女子大学では、それらはすべて女性です(割り当てられた「性別」に違和感をもつ人もいるけれど、みんな「女性」として生きたり生かされたりしてきた経験を共有しています)。
みなさんがこれまで学校で習ったことを思い返してみてください。暗記させられた歴史上の人物、音楽室に飾られた音楽家の絵や写真、国語便覧に載っていた文学者たち、なんちゃらの定理などといって覚えた科学者たちの名前、あるいは、幼い頃に読んだ偉人伝の登場人物。その多くが男性だったと思いませんか。なぜでしょうか。昔は男性しか教育を受けられなかっただけでなく、それを伝えてきた後世の学者、研究者たちの多くもまた男性だからなのです。
これまでの(そして今もなお)学問の世界は、年配の男性が中心となっているという「偏り」をもっています。だから、これからの学びには、これまで発言権のなかった人たち――たとえば、若い女の子たち――のものの見方や考え方が必要です。女子大学は、若い女性たちが圧倒的な力をもつ場です。だからその場所から、ジェンダーについて考え、発言し、議論を広げていくことは、どんな素晴らしい教材や先生にも劣らないパワーをもつのです。
今こそ、若い女性が、誰に遠慮することなく、誰かの顔色をうかがうことなく、何かにおびえることもなく、ここは安全だと思える場所で、自由に考え、学び、発言し、行動できる場所が求められています。この女子大学という場で、未来の自分と社会を支える力を蓄えてほしい。私たちはそれを全面的にサポートしたいと思っています。
- 注)「ジェンダー論」人間関係学科 専門科目(1年生から履修できます)
(大貫恵佳)
“シリーズ「女子大で学ぶ」”について
このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。