「女子大」×宇宙 ~シリーズ女子大で学ぶ⑪

シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第11回は、宇宙と女子大学のつながりについて考えます。

「宇宙に行ってみたい」と思ったことはありますか。

2021年から始まった宇宙旅行サービスは大人気です。いまは高くて手が出なくても、30年もすれば宇宙ホテルや月面ホテルも増えて、結婚式や卒業旅行、家族旅行で宇宙に行くようになるでしょう。宇宙は旅行だけでなく、仕事の出張や転勤、そして移住先にもなります。

これらは単なる空想ではありません。
世界の国や世界中の企業がいま真剣に取り組んでいる宇宙開発やプランに基づいた予想です。大学生も、これから大学生になる人も、将来仕事の中で直接・間接に宇宙に関わる時代がすでに訪れています。

「宇宙×女子大学」は工学部などの「リケジョの話」に限ったものではありません。
駒沢女子大学で学ぶ分野はすべて宇宙産業に生かせるし、必要だからです。

旅行でも仕事でも移住でも、未来の宇宙に行くのは一般の人です。
劣悪な生活環境に耐えられるでしょうか。

宇宙飛行士でさえ、ISS(国際宇宙ステーション)の生活では、洗顔や入浴などの衛生行為がもう少し快適になれば、ニオイの問題を解決できたら、などを挙げており、宇宙の生活環境には改善の余地が大いにあります。
毎日ふんだんに水を使って洗顔・入浴・洗髪をし、トイレでお尻も洗うような生活が当たり前の日本人が宇宙に行ったら、どれだけ大変なことでしょう。
だから一般の人が宇宙で生活するためには、衛星・通信技術だけではまったく足りないのです。

日本の伝統には、江戸文化のように制約の多い社会でも心豊かに暮らしを楽しむ方法や、きめ細やかな心遣いの文化があります。制約だらけの宇宙だからこそ、日本は宇宙生活産業で大いに活躍と貢献ができると確信しています。
しかも日本で長年生活を担ってきたのは女性ですから、日本の女性が大いに活躍できる場が宇宙にあります。

皆さんの女子大学での学びを、宇宙産業の担い手として生かす日が、遠くない未来にきっと訪れるでしょう。

(石田かおり)

  1. ※ 著者は世界初の宇宙美容の組織である一般社団法人宇宙美容機構の理事として、宇宙での生活を快適に、そしてわくわく楽しいものにする研究と活動に参加しています。

宇宙美容機構はJAXAのThink Space Life(TSL)第1期の中核を担う団体の1つで、TSLの3年間の成果は「Space Life Conception」としてweb上で公開されています。


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開催中の大阪万博では、タカラベルモント株式会社の展示の中に、私が宇宙美容について話した内容が公開されています。


“シリーズ「女子大で学ぶ」”について

このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。

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