横浜アンパンマンこどもミュージアム×女子大 ~シリーズ女子大で学ぶ⑫

シリーズ「女子大で学ぶ」では、人間関係学科の教員が、女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。第12回は、女子大でフィールドワークを行う意義について考えます。今回の行き先は、横浜アンパンマンこどもミュージアムです。

少し前になりますが、3年生後期のゼミで横浜アンパンマンこどもミュージアムに行って来ました。

その目的は、本シリーズ③に書いたとおりです。
前期の行き先がサンリオピューロランドだったので後期の行き先が横浜アンパンマンこどもミュージアムに決まった時には、そう来たか! とわくわくしてしまいました。

フィールド調査に行く前に、ゼミ生は各自2項目ほど調査項目を立て、帰って来てからそれらに回答します。これらをゼミ全体で集約し、フィールドワークの成果をまとめていきます。

また、大きな問いも立てます。
今回は、「なぜミュージアムにパンを買いに行くのか」という問いを立てました。

さて、フィールドワーク当日です。
お昼前に集合し、パンを食べてからミュージアムを見学することにしました。

平日にもかかわらず、「ジャムおじさんのパン工場」には長蛇の列ができていました!
フードコートも混雑していたので、私がパンの列に並び、ゼミ生にはテーブルの確保を託しました。

ようやく全員分のパンを手にし、フードコートに向かうと、そこには席取りを諦めたゼミ生の姿がありました。

聞くと、子連れのママパパに圧倒されて大学生の私たちには入る余地がないと言うのです。
先生なら大丈夫かも、ということで、私も参戦し、しばらくしてからなんとか席を確保することができました。

来場者のほとんどが小さな子連れであるこの場所で、大学生であるゼミ生たちは身の置き場を失いつつあったのです。

これは想定外の出来事でした。

フィールドワークに行くと、このような想定外の「現場」が立ちはだかっています。

それによって行く前に設定した調査項目や問いが陳腐なものに見えてくることもよくあります。

今回はまさにその好例となりました。

「ミュージアムにパンを買いに行く」という行為もとても面白く、研究しがいのある問いですが、横浜アンパンマンこどもミュージアムが「こども」ミュージアムであるという本質的な部分について考えてみる必要があることを、フィールドワークに行って突き付けられたのです。

それはフードコートに限らず、施設全体が想定以上に子連れに特化した空間であることを身をもって経験した結果、生まれた大学生ならではのリアルな問いです。

教室から出て行った先の現場は、大学生という今のゼミ生たちの置かれた立ち位置を確認させてくれる鏡でもあることに気づかせてくれる機会にもなりました。

  • 横浜アンパンマンこどもミュージアム入口にて
    横浜アンパンマンこどもミュージアム入口にて

(楠田恵美)


“シリーズ「女子大で学ぶ」”について

このシリーズでは、人間関係学科の教員が、現代社会において女子大学で学ぶ意義を考え、発信しています。「もう男女で分ける時代じゃない、大事なのは“その人らしさ”」という考えに私たちも共感します。ただ、私たちは、そうした社会が実現するためにも、そうした社会で女性が生き抜いていくためにも、女性たちに寄り添った教育の場所が必要だと考えています。女子大学でさまざまな学生たちと接しながら、私たち教員が日々思うこと、考えていることについてお読みいただければ幸いです。

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