山本 元隆(ヤマモト ゲンリュウ)

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私の研究紹介

私は日本の仏教文学、特に江戸期の仏教説話集『続沙石集』を中心として日本文化における仏教の受容と変容の痕跡を探る研究をしています。

一口に「仏教説話集」と言っても、徹頭徹尾「仏さまの教え」を綴ったものではありません。『続沙石集』の話材は、神社仏閣の不思議な縁起物語から一休禅師のトンチ話にいたるまで実にバラエティーに富んでいます。なかには仏教の本義から遠く懸隔したものさえあります。しかし、それをも含めた一切の説話は、その時代に生きた人々が理解し、心に深く浸透した“仏教ソノモノ”であると捉えています。仏教は中国や日本などアジア各地に伝播していく過程で、その地域の習俗と風土と融合し、人々の心情に深く沁み込み多種多彩な仏教文化を形成してきました。その文化を育み伝えてきたのは、その時代時代に生きた人間の“心”にほかなりません。

種々雑多な物語を収録した『続沙石集』には、悲喜交々の日常生活のなかに仏教の“心”を見出し、後世に伝えんとする作者・南溟の願いが込められています。一文字一文字に込められた日本文化の“心”を読み解き、当世に生きた人間の“心”をふかく探ることは、今に生きる私たちの“心”を学ぶことにつながると考えています。

私の授業紹介

「仏教文学」は『日本霊異記』『今昔物語集』『沙石集』をはじめとする仏教説話集や仏教の影響を色濃く受けた近現代の文学作品を取り上げ、日本の文学に描かれた仏教文化の具体的な様相についてひろく講じます。テキストの講読を通して、仏教を受容した日本人がどのような文学を築き上げたかを理解するとともに、仏教文学を読み解くうえで必要な仏教用語の基礎知識を身つけることを本科の到達目標としています。

「日本文化ゼミ」では「日本文化の“心”への探求」をテーマとし、仏教説話集『続沙石集』を手掛かりとして日本文化の内面的(心的)特徴について考究します。『続沙石集』には、不可思議な霊験譚から愚か者の罰当たりな失敗談にいたるまでバラエティーに富んだ物語が収録されています。「仮名まじり文」の『続沙石集』をていねいにひも解き、風習・伝説・信仰の面から幅広く、また深く日本文化の“心”を考えていきます。

「仏教学」は本学の建学の精神「行学一如」「正念」を学ぶ授業です。建学の精神の礎となる仏教と禅の教えは、古今を問わず人間の生き方や日本の文化に大きな影響を与えてきました。それが現代に生きる駒女生一人ひとりの学びにどう関わり合ってくるのか、仏教や禅の視点を通して「人間」をより深く理解する契機となることを願っています。

受験生・在学生へのメッセージ

日本の文化や文学、歴史をていねいにひも解くと、仏教や禅の“心”がさまざまな様相(かたち)で現れ出てきます。その“心”を学び得ることは心豊かな学生生活を送る礎となるでしょう。芳しいkomajoの学び舎にて、ともに日本文化の“心”を探究することを楽しみにしています。

私の研究と授業 リンク