安井 裕司(ヤスイ ヒロシ)

専門分野

担当授業

私の研究紹介

私は1980年代のヨーロッパの市民運動の高揚に興味を抱き、大学院に進学しました。最終的には西欧社会との比較において、市民社会が弱体であった戦後の日本でどのように国連中心主義が形成されたかを博士論文のテーマとしました。その後、市民社会論の視点から多文化共生、異文化理解、在留外国人と社会的包摂にテーマを広げて、現在に至っています。

私の授業紹介

「異文化理解I」では、レヴィナス、レヴィ=ストロース、フーコー、デリダ等の理論的な側面から異文化理解の方法を押さえた後、民族、言語、ジェンダー、障がいなどをテーマにケーススタディとして「異文化」を理解する必要性を考えていきます。「異文化理解Ⅱ」では、小説や映画作品を用いて、階級、グローバル化、少数民族、留学生、外国人労働者、食文化、移民をテーマに考えていきます。最終的に、多文化共生社会の構築のヒントを見い出していきます。

「日本事情III」では、ルース・ベネディクトの『菊と刀』や土居健郎『甘えの構造』、中根千枝『タテ社会の人間関係』、山本七平『空気の研究』、阿部謹也『「世間」とは何か』等をとり上げて、日本学的視点から日本社会、日本文化を考察致します。また、毎回、短い時間を使い日本社会を分析するに相応しい最新ニュースを皆で議論していきます。「日本事情Ⅳ」では、スポーツ、漫画、アニメ、映画作品、ジェンダー、地震、コロナ禍などをテーマに日本を考えて行きます。「日本事情III」同様、最新の日本関連のニュースにも焦点を当てます。

「比較文化」では文化中心主義・文化相対主義、文化帝国主義、アメリカナイゼーション、グローバリゼーション、オリエンタリズム、カルチュラル・スタディーズ等、理論的な側面から「比較文化」を捉えた後、具体的なケーススタディとして、映画、ドラマ、アニメ作品を用いて、国を越えて作品が享受されることによって、重なり合いながらも顕在化する日本及び諸外国のそれぞれの「文化性」を分析していきます。

受験生・在学生へのメッセージ

高校までの勉強と大学からの研究は大きく異なります。大学からの研究には(「答え」に近いものがあっても)絶対的な「答え」がないことが多いです。時代によって歴史や事象の解釈や見方が変わっていくこともあります。そこで求められることは論理性です。また、異なる意見に対峙しても、Agree to Disagreeの精神で他者の存在を認め、論理を再構築(あるいは脱構築)していくプロセスが必要となります。フィ―ルドとしては、書籍・教室の中だけではなく、日々の生活の中において、様々な現象に対して「なぜ」と問い続けて欲しいと思います。皆さんと一緒に学べることを楽しみにしています。

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