木内 英実(キウチ ヒデミ)

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所属学会

私の研究紹介

夏目漱石の弟子である中勘助の文学研究を専門としています。研究の発端として『漱石全集』(岩波書店)収録、修善寺の大患により病床にあった夏目漱石宛ての中勘助による見舞状の発信地が私の実家の目の前の土地(小田原 御幸の浜)だったことが挙げられます。そのような土地の縁をきっかけに、中勘助とはどのような作家なのか? 静岡市にある中勘助文学記念館を訪れその伝記を知り、作家の穏やかな人間性を思い出語る現地静岡の人々の話を聞く中で、岩波文庫阪『銀の匙』を読書することによって自分に縁のある作家との確信を深めました。

中勘助の文学の中には、日本昔話等の伝承文芸、古典や和漢英文で記された印度学仏教学資料をもとにした作品が数多くあります。それらの作品を私たち日本人が物語を伝承する過程における一変奏もしくはアダプテーション(翻案)と捉えることによって、比較文学、印度学仏教学、日本文化史へ研究分野は拡大していきました。 夏目漱石、森鴎外等近現代の文学者の作品における印度学・仏教学受容の様相や古典の影響を研究テーマと設定、文学者の直筆原稿を確認することを重要視し、近年では研究に取り組んでいます。

私の授業紹介

2023年4月に本学に着任しました。学生の皆さんにとって中高生時代に教科書で触れた身近な文学作品や日常生活で見聞きする日本の文化的事象を話の切り口として、日本近現代文学の興味深さ、日本文化の豊かさを理解していただけるような授業の展開に努めたいと考えています。

「日本文化入門Ⅱ」では民俗文化財である日本昔話から日本の文化について考察していきます。「近代文学概論」では小説というジャンルが明治時代以降、どのように日本文学の主要ジャンルとして定着したのか、文学史の流れを追いつつ、それらの小説の文学史上の位置づけについて考察します。「近現代文学Ⅰ(近代)」および「近現代文学Ⅱ(現代)」では明治期より現代にいたる夏目漱石や谷崎潤一郎等代表作家の作品を時代背景の理解を深めながら読解し、それらの作品の特徴を確認していきます。

文学史や当時の風俗史といった歴史的文脈の中で作品を捉えると中高生時代の授業で学んだ時とは異なる作家や作品の一面が見えてくるでしょう。「児童文学」では幼年童話と一般に呼ばれる読み物を中心に、皆さんが小・中・高生時代に触れた児童文学やラノベにも触れます。明治期より現代にいたる児童文学の流れを理解することができる授業です。

受験生・在学生へのメッセージ

近年、アイドルを起用した文芸映画の製作上演が続いています。2022年は直木賞受賞作品「月の満ち欠け」(原作:佐藤正午)や「あちらにいる鬼」(原作:井上荒野 井上の視点をもとに父:井上光靖・実母・瀬戸内寂聴の三角関係を描いた作品)が注目を集めました。漫画「文豪ストレイドッグス」等、YouTubeも含めさまざまなメディアで日本近現代文学の片りんに触れることが可能です。日常生活に文学を取り入れ、文化的に豊かな生活を送りましょう。

私の研究と授業 リンク