重症心身障害児・者医療福祉施設での実習(小児看護学実習)

看護学部3年生の後期は、病院や施設などでの実習が中心となります。「小児看護学実習」では、病院の小児病棟のほか、保育園・認定こども園、重症児・者福祉医療施設で実習をしています。今回は重症児・者医療福祉施設実習2日間の様子をご紹介します。

重症児・者医療福祉施設とは、自分で体を動かせないなどの体の不自由さ(肢体不自由)と言葉や理解の不自由さ(知的障害)を両方抱えている方々が生活している施設です。ここでは、障害のある方々の食事や入浴などの日々の生活を支えながら、医師や看護師による医療も提供されています。また、施設の中には学校もあり、小学生から高校生までが教育を受けることもできます。

実習1日目、学生たちは施設で実習をします。施設の庭には季節の植物が植えられていて、温かい雰囲気を感じます。また、障害のある方もない方も一緒に乗れるブランコがあります。学生たちもブランコに乗ってみると、実習中の緊張もほぐれて思わず笑顔になります。

庭をぐるっと見学した後、施設に入ります。実習では、施設の看護師とともに、施設で生活している利用者さんとたくさん関わりながら、食事や入浴の援助、薬の投与や呼吸を楽にする処置、リハビリテーションの様子や施設内の学校の様子などを1日見学します。

学生たちは1日の実習を通して、「その利用者さんの好きなことや趣味ができるように生活を支えることが重要だと感じた」「表情や体の動きで気持ちを伝えているのだとわかった。その方をよく見てコミュニケーションをとることが大切だと思った」「生活の中の医療を支えることが看護師の役割だと感じた」など、多くのことを学んでいます。

実習2日目は、大学内で実習のまとめと技術演習をします。実習のまとめでは、グループごとに実習で学んだことを話し合って模造紙にまとめます。模造紙は、文字のほかに絵を描いたり色を塗ったりと、見やすく伝わりやすく工夫されています。その後は発表会です。発表会でたくさんの質問や意見を出し合うことで、学生たちは重い障害を抱えながら生活する方々への看護とは何かを真剣に考えています。

技術演習では、施設で出会った利用者さんを思い出しながら、重い障害を抱えて生活する方々の生活と医療を支える看護技術を学びます。なかには、気管切開や経管栄養という医療を必要とする方が多くいます。技術演習では、これらの看護技術を大学内のモデル人形を使って学びます。普段は直接触れることの少ない医療器具も、大学内ではモデル人形を使って実際に手に取りながら学べます。

  • 演習で使うモデル人形
    演習で使うモデル人形
  • 気管カニューレ(右)と人工鼻(左)という器具
    気管カニューレ(右)と人工鼻(左)という器具

気管切開(きかんせっかい)とは、のどが狭かったり、力が弱くて上手に呼吸ができない場合に手術でのどに穴を開けて気管カニューレという管を通すことで呼吸を楽にする方法です。学生たちはまず、気管カニューレを実際に触って仕組みを理解します。そして、呼吸を楽にする方法や、気管に溜まった痰を吸引チューブで吸って取り除く練習をします。

吸引の演習では、吸引の強さや吸引チューブを挿入する長さをしっかり確認。ひとりひとりにあった声かけも大切にしています。どんな声をかければ、その方の苦痛を和らげられるだろう? と考えながら関わります。

  • 吸引の演習
    吸引の演習
  • 体のつくりを考えて安全に吸引します
    体のつくりを考えて安全に吸引します

経管栄養(けいかんえいよう)とは、口から食事を摂ることが難しい場合に、鼻から胃まで届くチューブを入れたり、手術で胃に穴を開けて直接栄養を届けられる胃ろうというチューブで食事を摂る方法です。学生たちは、チューブが正しく胃に届いているかを確認して、その方の食事となる栄養剤を入れるボトルとチューブの準備を練習します。演習では、実物をたくさん触って使い方を確認します。チューブの準備から栄養剤をボトルに入れるところまで、一連の流れを演習します。一つひとつの手順が、大切な食事の準備です。

  • 経管栄養で使うセット
    経管栄養で使うセット
  • ボトルに水を入れて練習します
    ボトルに水を入れて練習します

医療器具の扱いには、たくさんの注意事項があります。学生たちはそれぞれの医療器具を扱うときに注意しなければならないことを学生同士で声をかけ合いながら、一つひとつ確認しています。重い障害を抱える方々の気持ちになりながら、安全に、心地よく処置を受けられるように気をつけて取り組んでいます。

この2日間の実習を通して、学生たちは多くの学び、成長しています。重い障害を抱えながら生活のなかで医療を必要とする方がその方らしく過ごせるように支える看護について、これからも、学生とともに学び続ける教育を大切にしていきたいと考えています。

  • 実習を通して成長する学生たちを応援しています
    実習を通して成長する学生たちを応援しています

文責:小沢 浩美

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