オンライン授業:精神看護

あっという間に10月になってしまいました。2020年度が始まろうとしている頃、新型コロナウイルス感染症は一気に拡大し、大学は授業を提供するために「遠隔授業」を実施することを意思決定しました。教員もそうですが、学生のみなさんにとっても、未知のことに否応なしにチャレンジしなければならず、大変だったと思います。

とは言っても、一人ひとりの学生に「オンライン授業だから十分に学ぶことができない……」と思わせないように、どうしたら教場での授業と変わらない感覚で授業を提供できるのか模索してきました【写真1】。

例えば…リアクションペーパー

今までのリアクションペーパーは「紙」でのやりとりでした。オンラインでは、Google Formsを用いて行うことにし、できるだけ時間内に、遅くとも次週の授業冒頭で、一つひとつの質問や意見にフィードバックすることにしました。

例えば…グループセラピー(SST:Social Skills Training「生活技能訓練」)

SSTとは、日常生活上の困りごとをコミュニケーションやロールプレイを通して学習することにより、課題の自己解決を図ろうとするトレーニングのことをいいます。授業では、その雰囲気を体験できるように、領域の教員が別々のGoogle Meetから入り、1人は患者さん役【写真2】に、1人は看護師(リーダー)役に、さらにもう1人も看護師(コリーダー)役に。ビンゴで選ばれた学生【写真3】には、患者さん役として一緒に入っていただきました。

冒頭、看護師(リーダー)役の教員から、SSTのルールを確認しました【写真4】。その後、授業用シナリオに沿って、実際にロールプレイも取り入れました【写真5】。学生からのフィードバックには、「悪いところを直すのではなく、良いところをみんなで引き出すことが大切だと感じた」のように、対面授業で実施したときに得られる気づきを共有することができました。

例えば…看護過程の展開

当初予定は、グループで話し合いながら事例を展開することでした。しかしながら、12週のなかで授業内容を網羅するためには、自己学習時間を使って個々の学生が課題に取り組む必要がありました。そこで今年は、定型的なドキュメントへの記載を求めるのではなく、まずは該当箇所についてGoogle Formsで回答を求め、教員が学生の行った情報のまとめ方、考えなど思考のプロセスをフィードバックペーパーという形で提示し、一人ひとりの学生の自己学習を促進できるように配慮しました。中には、自分で考えることの難しさを感じた学生もいましたが、フィードバックペーパーの内容を取り入れながら、豊かなケース像の作成につながった学生もいました。

そして…机上間ラウンド

最後の授業で気がついたこと。実は机上間ラウンドができるのです。ドキュメントで課題を配信し、学生が取り組んでいるところを一つひとつクリックして進んでいくと、いつもの教場で学生が課題に取り組んでいる様子を確認できるのです。もっと早く気がついたらな……コメントをうまく使えたら声かけできたのにな……と頭をよぎりました。

というように、私たち教員も学生とともに授業の仕方を学び、学生と一緒に歩んでいった前期でした。日頃から、私たちは教師としてたくさんのことを学生から学んでいるのですが、今年度前期はいつも以上に学ぶことの多い期間だったと思います。気持ちを絶やさず、一緒に授業をつくってくださった学生に感謝したいと思います。この学びを、後期からの実習で活かしていきましょうね。

  • 写真1:オンライン授業(参考)
    写真1:オンライン授業(参考)
  • 写真2:患者さん役として振る舞う教員 ※ 役作りも大切です!
    写真2:患者さん役として振る舞う教員
    ※ 役作りも大切です!
  • 写真3:ビンゴをつかって学生のなかから患者さん役を決定 ※ 使えるオンラインリソースは何でも使ってみる ※ オンラインではなかなか挙手しにくい。何より、グループセラピーで大切な導入(アイスブレイク)の一役を担った。
    写真3:ビンゴをつかって学生のなかから患者さん役を決定
    ※ 使えるオンラインリソースは何でも使ってみる
    ※ オンラインではなかなか挙手しにくい。
    何より、グループセラピーで大切な導入(アイスブレイク)
    の一役を担った
  • 写真4:担当教員からSSTのルールの説明(出典:べてるねっと)※ 『べてるねっと』より事前に購入していたポスターをスライドに複製することで、演習室の雰囲気を再現。
    写真4:担当教員からSSTのルールの説明
    (出典:べてるねっと)
    ※ 『べてるねっと』より事前に購入していたポスターを
    スライドに複製することで、演習室の雰囲気を再現
  • 写真5:ホワイトボードの代わりにドキュメントを活用してロールプレイを展開 ※ 司会(リーダー)、書記(コリーダー)の連携;オンラインでもSSTはできる
    写真5:ホワイトボードの代わりにドキュメントを活用して
    ロールプレイを展開
    ※ 司会(リーダー)、書記(コリーダー)の連携;
    オンラインでもSSTはできる

看護学科:精神看護学領域
畠山卓也・松尾真規子・岡京子

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