フィールドワーク2023「自然・素材・建築・都市をめぐる栃木・茨城の旅」
2023/10/12
住空間デザイン学類のフィールドワークは、地域に育まれた伝統的な文化や建物・街並みを調査・体験する授業です。この数年は新型コロナウィルス感染症の影響で宿泊を伴うフィールドワークが実施できていませんでしたが、本年はようやく2泊3日で実施できました。
行き先は栃木県と茨城県で、地域の自然、素材、建築、まちなど住空間を取り巻く大小さまざまな要素に直に触れました。
事前授業で調査や発表を行い、建物について理解した上での今回の見学先を巡った学生たちの感想を、見学レポートの抜粋からご紹介します。
大谷資料館地下採掘場跡
学生の感想
- 「大谷資料館」の石の広くひんやりとした空間は初めての経験だった。昔の人がこの場所で石を削り、運んで、建物を作っていたと考えるととてもすごいことだと思う。寒くて、さらにいつ崩れるかわからない環境で働いてくれる人がいたからこそ、歴史的な物や建築が生まれ、使われて続けてきたと思うと、とても危険であるが大切な仕事だったのだと感じた。レポートに書かれていたり、調べた石の特徴を実際に自分の目で確かめることもでき、非常に満足だった。
アートビオトープ水庭(設計:石上純也)
学生の感想
- 「アートビオトープ水庭」はとても印象に残っている。樹木がどこから見ても重ならないようになっていたり、飛び石の配置するバランスなど、細かいところまで計算され尽くして作られた水庭はまさに芸術だった。自然ではなく、人が計画的につくったことで、水の管理ができたり、落葉樹を使用できたりすることにとても驚き、感動した。トンボやアメンボなど、人間の作ったものと自然の生き物が調和しているのを見ると、やはり自然を壊さないように建築をしていくことが大切だと改めて感じた。
那須塩原市図書館みるる(設計:UAo)
学生の感想
- 本の多さ、建物の広さはもちろんのこと、広い空間をどのようにして使用しているかに工夫がなされていてとても居心地のいい空間だった。各場所の本棚の上の方にそれぞれに大きくキャッチフレーズが設置してあった。フォントやフレーズの内容も定期的に入れ替わるとのことで、来客数を減らさない工夫が細かくなされていた。天井の高さが著しく変化しており、また外の光を適度に取り込んでいたためあたたかく明るい雰囲気だったと同時に、それぞれの本棚も通路になるところでは背面がなかったり、見通しのいい空間が広がっていたため開放的だった。(中略)本といったコンテンツを通して人々にリラックス効果や日常生活に落ち着きを与える空間が自然に作られているのだと感じた。
フィールドワークを通しての学生の感想
- フィールドワークに行ってから日がたっていてもう忘れているのではないかと思ったが、こんなにも鮮明にその場の雰囲気や空気、直観だけでなく専門的な要素(音、光、人の動きなど)までも覚えていられて驚いた。その場に足を運ぶのはとても大事なことなのだと改めて痛感した。(中略)今回は事前調査もあったうえに、建物が周りに及ぼす影響だけでなくその建築家まで調べてから訪れたので、現地に行ってみてその人の独特なセンスが垣間見れたりなにかその建築家自身を感じられることがなんだかうれしかった。