フィールドワーク2018 「群馬ふしぎ発見の旅」

住空間デザイン学科のフィールドワークは、地域に育まれた伝統的な文化や建物・街並みを調査・体験する、主に2年生が参加する授業です。
今年度の行き先は群馬県。世界遺産にもなっている富岡製糸場だけでなく、実は最新の現代建築や歴史的・伝統的な地域、建物、空間が数多く存在しています。事前授業でしっかりと調査や発表を行い、2泊3日間で12の見学先を巡った学生たちの新鮮な感動を、見学レポートの抜粋からご紹介します。※

フィールドワーク2018担当教員:三戸美代子、太田清一

自分の「面白い」を見つける楽しさ

黒川恵美加

普段、建物について学ぶときインターネットでは簡単にその建物がどんな外観なのか、特徴的なのはどういうところなのかなど大体のことは知ることはできる。しかし、三日間いろいろな建物を見て回れたことにより、自分でここが面白いと見つける楽しさを知ることができた。
それを特に感じたのが「太田市美術館・図書館」である。二つの施設が併設した建物は駅前の多くの人が訪れやすい場所にあった。そのため内部の空間はどんな人でも居心地良く過ごせる空間になっていた。自分がいたいと思う場所で読みたい本を読むということができるよう、この施設にはさまざまな高さの椅子があり、建物自体も内部はスロープになっていることで目線の高さの違いも楽しめる点が面白いと感じた。また、ハラ・ミュージアム・アークは広い緑の草原に、「どしん」と黒く伸びた外観が特徴的で閉ざされた空間の中に現代美術の数々の作品がつまっていた。(後略)

  • 太田市美術館・図書館 書架
    太田市美術館・図書館 書架
  • ハラ ミュージアム アーク 全景
    ハラ ミュージアム アーク 全景

建築物に込められた意味や願い

井上野乃花

3日間のフィールドワークを通して私が学んだことは、どの建物にも意味や願いが込められているということである。太田市美術館・図書館では、「まちに創造性をもたらす、知と感性のプラットホーム」というコンセプトを元に、人々が自由に行き交える街のような空間が造られていた。富弘美術館では、シャボン玉をイメージした円筒状の部屋が集まることで訪れた人々に柔らかい印象を与えていた。県立ぐんま天文台には、太陽光の影によって太陽や星や月の位置が示されるモニュメントが設置されていた。そして、富岡市庁舎には、人々が集うまちのシンボルとなり、居心地の良い場所であってほしいという願いが込められていた。
どのような建物にしたいか、訪れた人々にどのように感じてほしいかを考えて建築することによってより良い建物ができ、人々も集まってくるのだと感じた。(後略)

  • 県立ぐんま天文台の屋外彫刻
    県立ぐんま天文台の屋外彫刻
  • 富岡市庁舎の エントランス上部
    富岡市庁舎の エントランス上部

想像と違った時の、驚きや好奇心

竹島詩織

建築物やインテリアを実際に自分の目で見る大切さを改めて知った。どのような素材を使っているのか考えることもできた。素材に実際に触れることで、より良さを味わうことができるのではないかと考えた。素材の変化を楽しめた。富岡市庁舎の壁に装飾されていた『きびそ』(蚕が最初に吐き出す製糸に使えない部分)という糸が印象的であった。本来、捨てられてしまうものを違う目的で利用していた。このように、素材を再利用して生かすことはとても良いことだと感じた。私も、捨てられてしまうものを再利用したデザインを考えたいと思った。事前学習では分からなかったこと、写真では伝わりづらいスケールや素材を見ることができ良かった。想像していたスケールと違った時、驚きや好奇心が湧いた。(後略)

  • 富岡市庁舎の『きびそ』壁
    富岡市庁舎の『きびそ』壁
  • 太田市美術館・図書館の家
    太田市美術館・図書館の家

「五感を使う」 学びの重要さ

岩谷美咲

今回の旅で宿泊した旅館はどちらも趣があって素敵な旅館だと感じた。特に1日目から2日目にかけて宿泊した『横手館』にはちょっとした椅子と机がある共有スペースがあり、その場所が非常に心地よく気に入った。ここで読書をしながらゆっくりと時間を過ごすのも良いと感じた。
若手の建築家や有名な建築家の建物を見るだけでなく、宿泊する旅館にも昔ながらの建築を感じ、学ぶことができたと考える。(中略)

  • 横手館の心地よいスペース
    横手館の心地よいスペース

建物を見学する際には、「五感を使う」ことが非常に重要であることも今回学んだ1つである。
実際に目で形や色などを見る。壁や家具などに使われている素材を手で触ってみる。その空間の空気感や匂いを鼻で感じる。床のきしむ音や扉を開ける音などを耳で聴く。建物を実際に食べることはできないが、旅館などで食べた夕食や朝食をその建物の雰囲気とともに舌で味わう。
これらが様々な建築物をより深く学んでいくうえでとても重要であると感じた。

  • 食事も建物の雰囲気とともに味わう
    食事も建物の雰囲気とともに味わう
  • 訪れた先の空気や景色を味わう
    訪れた先の空気や景色を味わう

初めての日本旅館 伊香保温泉

Wang Lin

今回のフィールドワークで、初めて日本の温泉旅館に泊まりました。和風のイメージが想像以上に強いと思いました。
旅館に着いた後、横手館は90年前の旅館と聞いて、旅館の壁、柱、手すりなどを触って、とても歴史があると感じました。館内の照明や、部屋の間取り、デザインは、部屋の大きさや部屋の名前によってそれぞれ違っていました。これは横手館の魅力の一つだと思います。照明のデザインは、シンプルなものもあれば、その上に和風な柄を付けているもあり、とても好きです。特に、欄間、障子などの組子の意匠は美しく印象的です。これらを見ていると、当時の設計者はきっといろいろのところを考えてデザインしたのだろうと思いました。(後略)

  • 登録有形文化財の横手館
    登録有形文化財の横手館
  • 組子の細工は芸術的
    組子の細工は芸術的
  • 朝霧の中、石段を散策
    朝霧の中、石段を散策
  1. ※ 本内容は、住空間デザイン学類の前身である住空間デザイン学科のカリキュラムについて紹介しています。
    住空間デザイン学類での学びの参考にしてください。

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