基礎看護学実習Ⅰを終えて

2月末より3月初旬にかけて、看護学部6期生(1年生)の基礎看護学実習Ⅰが行われました。COVIDー19やインフルエンザ等も依然流行傾向ではありますが、予定通りのスケジュールで全員履修することができました。

本実習は1年次後期科目であり、学生たちにとっては初めての病院実習となっています。実習は2カ所の病院でさまざまな診療科の病棟に配属されました。87名の学生が前半と後半に分かれ、4~5人のグループを教員1名が引率する形で実習が行われました。

実習内容としては、1日目は病院・病棟オリエンテーションが行われ、病院見学・病棟見学など医療の“場”を知ることから始まりました。その後、受け持ち患者さんの紹介・同意を得て、初めての“コミュニケーション”を体験しました。

2日目はシャドーイング学習として一人の看護師に半日同行させていただきました。看護師が患者さんと関わる際に工夫・意図している点について学び、学内演習で学んだ看護ケアが実際に患者さんにどのように実施されているのかを見学しました。また、医師や薬剤師、看護助手との情報交換の場面などを通して、多職種との連携についても学びました。

3、4日目は、受け持ち患者さんに対する援助計画を立案し、助言を得ながら環境整備やシーツ交換、清潔援助などを実施しました。大学で練習した内容と、実際に患者さんに対して行うことのギャップに戸惑い、その場所や対象の健康レベルに合わせた看護技術の必要性について考えさせられたようでした。また、受け持ち患者さんとのコミュニケーションでは緊張で頭が真っ白になったり、患者さんのお話を聴くことに精一杯だったり、質問ばかりになってしまったりと、看護師と患者の立場でコミュニケーションを取ることの難しさや大切さについて、たくさんの気づきや学びを得ていました。さらに、カンファレンスを通じてグループ内で学びを共有する大切さにも気付くことができ、看護師として目的を持って関わることの大切さや、患者目線で物事を考える必要性について、学生たちから意見を出す積極的な姿もみられました。

5日目は全員が学内に戻り、学びのまとめとして「成果発表会」を行いました。発表の内容は病院や病棟の紹介と共に、看護師が患者さんと関わっている場面から学んだこと、受け持ち患者さんとのエピソードから学んだことや今後の課題などが挙げられました。複数のグループから出ていた内容をいくつか紹介します。

まずは「コミュニケーションと観察の大切さ」です。患者さんを知る上で、会話から得られる情報はたくさんあります。しかし、ただ患者さんのベッドサイドに伺って会話をするのではなく、患者さんがどのような物を療養環境に置き、何を大事にしているのかを観察することが、患者背景を知るきっかけとなることに気付くことができました。また患者さんと関わっていくうちに、言葉以外の表情や姿勢、歩いている姿や患者さんの目線を追うことで、療養環境の中に危険な箇所がないかなど、多くの情報が得られるということを理解しました。

次に「臨機応変の大切さ」です。実習では、翌日の計画を準備して臨みますが、患者さんの状態は日々変化しているため、なかなか計画通りにはいかず、予定の中止や変更、追加など、一つの考えによる計画では太刀打ちできないことを経験しました。また、学内のように決められた物品が準備されているわけではないため、物理的環境や患者さんの変化などさまざまな可能性を考え、複数の対応策を考えておく必要があること、そのためには、患者さんの理解とその前提となる知識が必要であることを学びました。

他にも1年生ならではの気付きがとても新鮮で、グループの特徴あふれる内容でした。参観された先生や担当教員からの講評では、学びに対する承認や励まし、今後への期待など温かいコメントをいただきました。

  • 学びのまとめである「成果発表会」の様子
    学びのまとめである「成果発表会」の様子

次の臨地実習は、半年後の基礎看護学実習Ⅱです。今回の実習で明らかになった個々の課題に取り組み、2年前期で学びを深め、さらに成長した姿で取り組めることを期待しています。

文責:粂川 広平

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