脊髄小脳変性症のDRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)の臨床試験が開始されます

脊髄小脳変性症のDRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)という神経難病をご存知ですか。2005年放送のドラマ『1リットルの涙』で主人公が患った病で記憶されている方もいるかもしれません。DRPLAは小脳変性症の中でも最も重度の病態で、運動障害、認知障害、不随運動、てんかん発作などにより、できていたことができなくなり寝たきりとなるといった経過を辿ります。

DRPLAの患者・家族の長年の願いである治療法開発の第一歩となる、臨床試験がやっと開始されることになりました(CureDRPLA より2月発表)。
近年、アルツハイマー型認知症の治療薬の開発やALS(筋委縮性側索硬化症)の治験が開始されるなど、神経難病の治療法の開発が進んでいます。

以前、本学のホームページでDRPLA患者家族の塩沢淳子氏を紹介いたしました。
塩沢氏には毎年、本学看護学部の授業で「患者家族の思い」について講義していただいています。塩沢氏の夫と娘(紅梨くりさん)はDRPLAで、紅梨さんは8歳で発症、夫も同時期に発症し、お二人の介護を続けてこられました。ご主人さまは6年前に他界され、現在は28歳になられた紅梨さんの介護をされています。

  • 夫の遺影とともに塩沢淳子さんと紅梨さん
    夫の遺影とともに塩沢淳子さんと紅梨さん

塩沢氏は家族の立場からDRPLA治療薬開発推進に向けた活動を長年続けてきました。具体的には、CureDRPLAという国際的な団体に所属し、世界中の患者家族と連携し治療法開発の推進活動を行っています。治療法の開発には一人でも多くの患者さんのデータが必要です。DRPLAの患者は日本人に多いということで、日本人の患者さんの登録を呼びかけています。塩沢氏はハワイ在住ですが、日本神経学会への参加、厚労省でのDRPLAの患者登録の呼び掛けのための記者会見を行ってきました。

また、日本のDRPLA患者家族会を立ち上げ、DRPLA患者家族との交流、支援を行っています。DRPLAは遺伝性と遺伝歴のない孤発性がありますが、その特性から家族内で抱えるケースが多く、患者会への参加を躊躇される方も少なくないとのことです。塩沢氏は、患者家族同士だからこそ分かりあえること、相談できることがあると患者会への参加を呼び掛けています。一人でも多くの方にDRPLAを知ってもらえること、一人でも多くの患者登録が治療法開発へつながります。

塩沢氏はCure Disease Kuri Channel を開設しています。以下からアクセスしてご覧いただき、一人でも多くの方に関心を持っていただけることを願っています。

文責:奥井 良子

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