東日本大震災から10年によせて

マグニチュード9.0の巨大地震が発生したのは、2011年3月11日午後2時46分でした。宮城県内陸で震度7、その他の東北地方も震度6強から弱、関東地方でも震度5強の大きな揺れを経験しました。

そしてちょうど10年後にあたる本年2月、まさにこの原稿を書かせていただいている折に、東日本大震災の余震といわれる大きな地震が再び発生しました。被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。また、当時の記憶が呼び起こされ、不安な日々を送っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

当時、私は福島県の看護学部に勤務していました。すぐさま雪のちらつく建物の外へ避難して過ごしたのち、テレビの画面越しに観た津波の映像はすぐには信じがたいもので、いまだに目に焼き付いて離れません。

その後の停電で、隣の附属病院では執刀中の手術が中止となりました。エレベーターの停止で手術室から病棟に戻れなくなった患者さんたちは廊下続きの看護学部棟へ搬送され、私たちは実習室で術後患者のケアを行いました。そして病院のトリアージ対応、病院職員やDMAT隊員への炊き出し、また保健所支援として海岸沿いのお宅や避難所への訪問など、看護師・保健師としての支援に参加させていただきました。

  • 福島県の実家近くの公園に設置されたモニタリングポスト(2015年12月現在)
    福島県の実家近くの公園に設置された
    モニタリングポスト(2015年12月現在)

原発災害も複合したこの災害について、復興庁の報告によれば、今年1月13日現在、避難者の数はいまだ4万2千人と報告されています。

このように自然災害は避けて通ることはできないかもしれませんが、私たちにできることはあります。家庭で日頃から災害に備え早めの非難を行う「自助」と、地域の人々と助け合う「共助」です。この10年の節目に、改めて一人ひとりが自分にできること考える機会になればと思います。

  • 「自助」のための我が家の避難グッズ
    「自助」のための我が家の避難グッズ
  • 「自助」のための我が家の避難グッズ
    「自助」のための我が家の避難グッズ

本学では「災害看護学」が4年生に配置されています。自分自身も地域に暮らす一人の生活者という視点を忘れずに、看護専門職としての役割を学んでもらえることを期待しています。

成人看護学(急性期) 飯塚麻紀

ボイス :新着投稿