グリーンキウイの果肉色を構成する色素
2022/12/06
今年も12月を迎え、そろそろ国産のキウイフルーツが出回り始める季節となりました。最近では果肉が緑色のものに加えて、黄色や赤色のキウイも販売されるようになり、バラエティが増えました。さて今回は、果肉が緑色のキウイフルーツの「色」に注目します。
一般にフルーツの果肉と言えば、黄色や赤色あるいは紫色などを呈するものが多いのですが、グリーンキウイの果肉は鮮やかな黄緑色を呈します。フルーツの中では異彩を放つ色調です。ではこの果肉色は、一体何によって構成されているのでしょうか。学生実験レベルの簡単な実験で確かめてみましょう(最下部の動画もご参照ください)。
まず、グリーンキウイの果肉から酢酸エチルで色素を抽出します。これを濃縮して試料液を調製し、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析してみます。すると、グリーンキウイ果肉の色素成分は、ホウレンソウなどの緑葉の色素ときれいに一致しました。そうなんです。グリーンキウイ果肉の色調は、緑の葉っぱと同じで、クロロフィルやβ-カロテン、ルテインなどから構成されているんです。
また、豊富に存在するクロロフィルの緑色に覆い隠されていてわかりにくいのですが、果肉中のβ-カロテンやルテインなどの黄色色素の含量は、果肉が黄色いキウイフルーツよりもグリーンキウイの方が多いのです。ホウレンソウやパセリなどの緑黄色野菜にβ-カロテンが豊富に含まれているのと似てますね。能ある鷹は爪を隠すといったところでしょうか。
グリーンキウイに含まれているβ-カロテンは、体の中でビタミンAに変換されるプロビタミンAの働きをもっています。またルテインは、失明の原因となる加齢性黄斑変性症の予防に有効とされています。含量は緑黄色野菜に及びませんが、美味しく手軽に食べられるキウイフルーツも、これらの栄養・機能性成分の補給に役立ちます。健康の維持増進のために、種々のフルーツを積極的に食生活に取り入れましょう。
色素分析の様子を動画でもご覧ください。