美味しくてビタミンCやβ-カロテン豊富な〝スプラッシュトマト″

西山一朗

最近、野菜売り場で見かけることが多くなったスプラッシュトマトという野菜をご存知でしょうか。一果の重さが15 g前後の、いわゆるミニトマト(プチトマト)です。色は普通のトマトと同じ赤色です。写真のとおり、一見するとただのミニトマトなのですが、意外なことにパッケージには、「サクッ!パリッ!」と書いてあります。

トマトなのに「サクッ」や「パリッ」はないだろうと不思議に思いながら食べてみると、確かにパリッとした感触で皮がはじけます。またペティナイフで切ってみると、普通のミニトマトとは全く違ったサクッとした手ごたえが感じられます。これまで味わったことのない、小気味よい食感です。肝心の食味は甘味がかなり強く、これに程よい酸味も加わって、さわやかな美味しさが楽しめます。

大変興味深い食材ですので、今年度(平成29年度)の4年生の卒業研究のテーマとして、その果実成分を調べてみました。その結果、糖度は普通のトマト(桃太郎種)の約2倍もあることがわかりました。さらに、可食部100gあたりビタミンCは約60 mg、β-カロテンは約1,000 μgも含まれており、この値を普通のトマトと比較すると、ビタミンCでは約4倍、β-カロテンでは1.8倍にも及びました(発表準備中)。このビタミンC濃度はいちごに匹敵し、たった12個のスプラッシュトマトでビタミンCの1日推奨摂取量(100 mg)を摂取することができる計算になります。またβ-カロテンも、緑黄色野菜の基準である600 μg/100 gをはるかに上回り、優れた供給源であることがわかります。

ビタミンCは生体内でのコラーゲンの合成を助け、血管や骨、筋肉を丈夫に保つために役立ちます。また、鉄の吸収を促進する作用や抗酸化作用による生活習慣病予防効果なども期待できます。一方β-カロテンは、同じく抗酸化作用を有するほか、必要に応じて生体内でビタミンAに変換され、正常な視覚の維持や皮膚・粘膜の健康維持に寄与します。

普段の食事で野菜や果物の不足を感じたときは、スプラッシュトマトで手軽に美味しくビタミンCやβ-カロテンを補給するのもお薦めです。

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