キウイフルーツによるタンパク質消化促進効果について
2017/11/01
11月を迎え、秋も深まってきました。食欲の秋ともいわれるように、秋は美味しいものがたくさん出回りますので、ついつい食べ過ぎなどという人もおられるのではないでしょうか。そこで今回は、キウイフルーツによる消化促進効果について紹介します。
キウイフルーツといえば、ビタミンCが豊富なことで知られていますが、それだけが果実の特徴ではありません。キウイフルーツ果実には、ゼラチンや食肉タンパク質などを強力に分解する「アクチニジン」というタンパク質分解酵素が豊富に含まれています。そのため、生のキウイフルーツをゼラチンゼリーに入れると、ゼラチンが分解されて固まらなくなります(写真1)。また、食肉をキウイフルーツ果汁に漬けておくと、食肉軟化効果が見られます。実験的にぶた肉の薄切りをキウイフルーツ果汁に漬けておくと、写真2のようにドロドロに溶けてしまいます(詳しくは、「 ぶた肉をキウイフルーツ果汁で処理すると・・・」をご参照ください。)
アクチニジンは、ゼラチンや食肉タンパク質の他にも、乳タンパク質であるカゼインや、卵に含まれる卵白アルブミン、小麦タンパク質など、様々な食品タンパク質に対して分解作用を示します。そのため、キウイフルーツを食事といっしょに食べたり、あるいは食後のデザートとして食べた場合には、消化を促進する効果があるのではないかと考えられてきました。しかし、胃内は胃酸によって強い酸性になっているため、本当にアクチニジンが胃の中でタンパク質分解作用を発揮できるのかどうかを疑問視する意見もあり、長年にわたってキウイフルーツの消化促進効果は、単なる可能性として扱われてきました。
しかし最近になって、人工胃液や人工腸液を用いたガラス器内での実験が行われ、キウイフルーツに含まれるアクチニジンが消化管内を模した条件下でもタンパク質分解作用を発揮することが示されました。また、ラット(ネズミの一種)やブタを用いた動物実験でも、キウイフルーツによる消化促進効果が実証されたとの論文も発表されました。さらに、ヒトにおいても消化促進効果を認めたとする予備的な報告もなされています。
これらのエビデンスから、キウイフルーツが消化促進効果を示す可能性は非常に高いものと考えられます。もしも肉や魚など、タンパク質を豊富に含む食品を食べ過ぎた時は、身近で入手が容易なキウイフルーツで消化促進を図るのも良いかもしれませんね。でもそれ以前に、食べ過ぎないようにご注意ください。
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