ハワイでの「海外インターンシップ」 2019年度春 ~海外で働く、実務を通して進路選択へアプローチ~
2020/05/11
2019年度で9回目を迎えた「海外インターンシップ実習」について報告します。今回の実習は、米国ハワイ州のオアフ島で2020年3月1日から12日までの12日間行われ、観光文化学類の2年生10名が参加しました。
オアフ島のビーチの夕日
ダイヤモンドヘッド頂上からの絶景
事前授業・事前研修
参加学生は、事前に「旅行業実務論」、「宿泊業・飲食業実務論」、「ホスピタリティ概論」を履修し、「海外インターンシップ実習」を履修登録します。その後、面接による選考を経て、JAL客室乗務員の経験をお持ちの講師によるマナーセミナーで社会人としての基本を身につけました。それとともに英語プレゼンテーションのワークショップとハワイ観光資源についてレクチャーを受けました。さらにハワイ出発前に、品川の東京マリオットホテルを見学し、JTBで事前研修を行いました。
東京マリオットでの事前研修
JTB本社での事前研修(英語のプレゼンテーション)
12日間のハワイ現地での実習の主な内容は、ホテル研修、国際文化交流、JTBハワイトラベルでの実習・英語プレゼンテーションの3つで、最後に全体反省会で締めくくりました。それぞれの活動を報告します。
ホテル研修
まず、ワイキキビーチにあるリゾートホテル「ワイキキ ビーチ マリオットリゾート&スパ」に4日間宿泊すると同時に、フロント、ベル、アジアサービスデスク、ハウスキーピングなどの業務を体験しました。実習中は、社員食堂でランチを食べながら社員と交流し、フラダンスなどの文化教室も体験しました。また後日、ホノルルビーチ沿いにある4か所のホテル見学も行い、各ホテルの施設と特徴、歴史などについて、ベテランのJTB現地社員に解説していただきました。
「ワイキキ ビーチ マリオットリゾート&スパ」での朝礼風景
アジアサービスデスクのスタッフと
ホテル従業員に英語で自己紹介
フラダンス文化教室の体験
参加学生の声
- ホテルに関わる全てのスタッフがゲストとの距離が良い意味で近く、日本のホスピタリティと異なるものであったことが印象に残りました。日本ではキャストとゲストの立場がはっきりとしていてゲストに対してキャストとしてのホスピタリティを提供しています。しかし、マリオットの研修では、キャストとゲストの立場ももちろんありますが、業務に関わらない人と人のコミュニケーションをとっている場面を多く見かけました。また、フロントスタッフがゲストに対して手書きでバースデーカードのメッセージを書いていたこともとても暖かく感じ、ゲストのことを考えていると思いました。(2年 Aさん)
- アジアサービスデスクのマネージャーさんが次のようにおっしゃっていました。「接客は鏡、自分が笑顔を心がけていたらスタッフも笑顔だしゲストも笑顔になってくれます。反対に笑顔なしで接客していると、ゲストも笑顔をかえしてはくれません。だから私はいつも最高のおもてなしをできるように常に自分のデスク、またみんなにも実践して欲しいからみんなのデスクにも小さな鏡を置いています。自分の表情を確認できるように」。私もアルバイトで接客業をしていますが、笑顔に関しての心構えを改めさせて頂いた言葉だったので深く印象に残っています。(2年 Bさん)
戦艦ミズーリでのボランティアとツアー
戦艦ミズーリ記念館はオアフ島のパールハーバーに係留する歴史的な記念館です。パールハーバーは、ホノルル国際空港から約5km、ワイキキから約18kmの位置にあり、参加学生はボランティア活動と歴史ツアーを行いました。午前中は戦艦で使われた板を再利用してしおりを作りました。実際に記念品として販売もされるそうです。午後は「太平洋戦争の降伏文書調印式」が実際に行われた場所で、第二次世界大戦から現在までの歴史を学びました。参加学生からは「涙が出そうになるくらい感動した」、「お互いに好きで戦争をやっていたわけではない、このようなことを繰り返してはいけないと再確認できた」などの感想が聞かれました。
戦艦ミズーリ記念館の全景
戦艦ミズーリでのボランティア活動
戦艦ミズーリを背景に記念撮影
戦艦ミズーリの艦上で歴史を学ぶ
参加学生の声
- はじめに木をやすりで削り、本のしおり作りをしました。簡単に見えますが、高さや薄さを均等に揃えるのが難しかったです。一番上手くできたしおりを記念に持ち帰れたのでいい思い出になりました。戦艦の見学は、世界史の授業の延長のようでした。教室で座って先生の話をきく授業とは違って、実際に見て説明を受けると、また違った印象を受けました。歴史が好きな人はすごく貴重に感じると思います!!(2年 Cさん)
- 中学や高校の授業や教科書にはない現地の人の思いや、実際にアメリカではどのようなことが起きていたのかを詳しく説明していただいて、とてもためになる研修だったと思います。涙が出そうになるくらい感動したことも印象に残ったことの一つです。(2年 Dさん)
JTBハワイトラベルでの実習
JTBハワイトラベルでは、ホクレアの航海方法など、ハワイの歴史と観光資源を学ぶレクチャーを受けました。またSDGs (Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)を中心テーマとして参加学生自らが企画し、「日本の刺青文化」についてJTBハワイの社員の方々と他大学の学生さんの前で、英語プレゼンテーションを行いました。持続可能な開発目標の現状と共に日本の刺青文化の特徴と他国との相違点、改善状況などを英語で詳細に発表しました。JTB社員からは、英語の発表から多くの努力が見えており、学生らしい斬新な観点からのものがあり、新鮮さを感じたとのコメントを頂きました。後日行われた「全体反省会」では研修の全日程を振り返り、感想を述べるとともに改善すべき点について意見交換をしました。また日本とハワイでのサービスを体験してみて、今後どのようなカスタマーサービスを目指すべきかについてグループワークを行い、グループ毎に意見を発表しました。「日本人の求めるサービスの高さと、ハワイでのお客様とスタッフとの距離の近さのギャップをどう活かすかが鍵である」、「日本とハワイ双方の良い部分を取り入れ、よりよいサービス向上を目指す」など様々な意見を交換して研修を終えました。
ハワイの歴史や観光資源を学ぶレクチャー
JTBハワイトラベルでの英語プレゼンテーション
グループワーク
JTBハワイトラベル前で記念撮影
参加学生の声
- JTB社員の方々や他大学の学生さんたちにSDGsの考えを伝えられて、プレゼンテーションの成功を感じました。良かった点は、短い期間で全員がまとまって一つのものを作成できたこと、全員で考えた思いを共有できたことです。しかし反省点も多く、自分の英語を動画で見返すと思ったほど上手くないことに気がつき、プレゼンテーションを行う上でプラスとなるボディランゲージも行えてなかったと感じました。英語でのプレゼンテーションには慣れていなかったため、今回の研修で多くのことを学ぶことができました。タトゥーについては、国によって考え方が様々であるため、全世界で受け入れ方を統一するのは難しいが、SDGsの考え方に基づいて、個性を持つ私たちがさらに共存しやすい世界になることを考えていきたいです。(2年 Eさん)
- この研修で学んだことを発表したこと、また日本のホテルのサービスマネージメントについて改善すべき点をグループで発表したことが印象に残っています。みんなが何を学んだと思っているのか知ることができ、みんなの意見を聞いて自分では気づいていなかったことに気づけました。ホテルサービスの発表でも、自分とは違う意見が多くて、「そんな考え方もあるんだ!」と色々な意見を知る機会になりました。(2年 Fさん)
充実した自由時間
ハワイでの滞在中には、実務を体験するだけでなく、自由時間も満喫しました。ビーチはもちろん、ダイヤモンドベット登山も皆で体験しました。ココアコのウォールアート街など話題の観光地に行き、現地の美味しい料理も堪能できました。
みんなで楽しい食事時間
ココアコのウォールアート
ピンクパレスと呼ばれるロイヤルハワイアンホテルの前で記念撮影
自由時間にダイヤモンドヘッド登山
今回のインターンシップのために準備した時間・努力から考えると、12日間の研修はあっという間に感じるほど短い期間でした。しかし、海外で働く経験、観光産業の人々に会って話す体験を通じ、参加学生にとって充実した時間になったと感じております。今回の体験が卒業後の進路選択の一助となることを願っています。
実習先担当者の評価
- 皆さんのプログラムに対する姿勢はとても素晴らしかったです。身なりや髪型も清潔感があり、最後まできっちりとプログラムを終了されました。“事前調査シート“は大変参考になりました。それぞれの学生さんが、プログラムでどのような内容を学びたいか、または生まれた地域についてどのような不安を持っているか、ということを前もって把握できましたので、その内容を基にシャドーイングの内容を振り分けたり、アドバイス等ができたと思います。ホスピタリティにはたくさんの業種があります。色々な内容を経験され視野を広げて自分に一番何があっているかを見つけてください。また、柔軟な対応やクリエイティブな考え方でポジティブな姿勢をご自身で育てていただきたいです。ネガティブをポジティブにできるのはご自身です。”Sky is the limit”——これから皆さんは無限に可能性があります。チャレンジ精神をもって羽ばたいてください。 G氏(マリオットホテル担当者)
- 今回はホノルル・フェスティバル26回目で初めての中止となり、事前に準備され、楽しみにしていた皆さんには大変申し訳なく思っております。ただ、ホノルル・フェスティバルでこんな事を体験したかった等、次年度以降に活かせる大変貴重なご意見をうかがう事が出来ました。急遽、ボランティアの代わりに取り入れた平和学習戦艦ミズーリでのボランティア活動なども学校では学べない事も身をもって体感できたとの印象でした。今回皆様から頂きましたご意見をもとに、次年度より平和学習やウェディング研修も取り入れた充実した研修をご提案できる様にしてきます。 H氏(JTB担当者)