「江戸東京たてもの園」見学会とプレゼンテーション
2018/07/05
住空間デザイン学類1年生の入門科目「住空間デザイン入門I」の授業にて「江戸東京たてもの園」の見学会を実施しました。
5月の新緑が気持ちの良い季節のはずが、天気予報は雨。浮かない気持ちのまま当日の朝を迎えると厚めの雲が広がっているが雨は降っていない。このまま晴れてくれると良いなと思いつつ現地へと向かいました。集合時間になる頃には日差しも出始め、徐々に気温も上昇して少し歩くと汗ばむ陽気となりました。
江戸東京たてもの園は小金井公園の一角に位置し、東京ドーム1.5個分の敷地の中に30棟の復元建造物と29個の屋外展示物が建ち並ぶ野外博物館です。貴重な文化遺産として次代に継承することを目的に、建設地では保存不可能な文化的価値の高い建造物を移築・復元し、保存・展示しています。そこには江戸時代の茅葺き屋根の民家から昭和前期にかけて建てられた様々な様式の住宅や商家・銭湯などが復元され、園内ボランティアの方々が当時の使い方などを解説してくれます。
どこか懐かしさを感じ、実際の空間を体験しながら楽しく学ぶことができます。実は、スタジオジブリの宮崎駿監督もここのファンの1人です。園内の武居三省堂をみて「忘れてしまった幼年時代に立ち会っているかのよう」と形容し、その感慨はひとしおであったと思い返しています(「私にとっての武居三省堂」『江戸東京たてもの園物語』、1995)。スタジオジブリ作品の中に登場する建物には、園内の建築物との共通点が見られるものも多数あります。
この見学会は「日本のくらし」と題して班ごとに様々な視点で調査テーマを設定し、調べたことをスケッチ等でまとめ、プレゼンテーションする課題としています。江戸東京たてもの園にある農家・住宅・商店等の調査・観察を通して主体的な学習方法を学び、共同作業を通してデザインの基礎を実践しながら自分の考えたことを表現すること・伝達すること・批評することなどを経験し学びます。
参加した学生たちの感想を一部抜粋して紹介します。
- 「プレゼン用紙の1枚1枚にこだわりがあり、グループ全体でまとめているもの、一人一人が異なったデザインでこだわっているものがあったりと様々でした。(中略)、自分たちが気づかなかったこともたくさん情報が分かりやすく入っていた。」や「同じ建物について調べていても、着目する点が違うと自分たちが気づかなかった部分が多かった。」などのプレゼンシートのデザインに関する感想や調査研究の着眼点の豊富さなどに多くの学生が気付き学ぶことができた。
- 「シート構成が遠目からでも見やすく、聞き手が引き込まれやすいテーマと説明(感想をはさむなど)が大事になることが分かった。」、「話し手は当たり前のように理解していることを聞き手が必ずしも分かっているわけではない。これをふまえて、『分かりやすい説明』とは何かを考えさせられた。」や「調査した結果、知識だけを羅列して話すのではなく、結果や知識から自分はどう考えたのか、当時のどんな様子が考えられるかを伝えた方がより聞き手を引きつけるプレゼンができると思った。(中略)同じ建物を調べていても、自分と違うポイントに着目している人達の発表は奥が深く、新しい見方があって新鮮だった。」のようにプレゼンテーションする方法についても多くの発見があり、今後のプレゼンテーション技術の向上に大いに役立つ発表会となった。