【地元発見プロジェクト】「『新編武蔵風土記稿』の現地を訪ねる」を実施しました

日本文化専攻の専門教育科目「地域文化概論」は、史料の読み方や地域文化の調べ方を身に付け、史料に基づいて各地の地域文化の魅力を発見し、そこから日本文化の特徴を理解することを学修目標とした授業で、1年生から履修が可能です。

東京都・神奈川県(東部)・埼玉県内各地の地域文化を調べるのに有益な史料として、『新編武蔵風土記稿』があります。『新編武蔵風土記稿』とは、江戸幕府が編纂した武蔵国の地理および歴史的事項を網羅した地誌で、文化7年(1810)に起稿し、天保元年(1830)に幕府へ上呈されました。編者は実際に各地を回って寺社・名所旧跡・旧家などを調査し、その土地に伝わる記録や伝承を数多く収録しています。

「地域文化概論」の授業では、『新編武蔵風土記稿』の中から、駒沢女子大学が所在する現在の稲城市とその周辺について叙述した部分を受講生全員で輪読することで、まずは史料の読解力を養います。つぎに読解した稲城市内の寺社や名所旧跡等を題材として、地域文化を考察する方法を学びます。本年度は、京王よみうりランド駅周辺にある穴澤天神社・小沢城跡・妙覚寺や、戦国時代の小沢原古戦場などを取り上げ、これらの史跡にまつわる伝承の真偽を確認したり、伝承の持つ意味や史跡そのものの特徴などを考察したりしました。

こうした学修を踏まえ、【地元発見プロジェクト】「『新編武蔵風土記稿』の現地を訪ねる」と題して、受講生の皆さんとこれらの寺社や名所旧跡を訪れました。以下は寄せられた感想の一部です。

  • 全員で穴澤天神社を参拝
    全員で穴澤天神社を参拝
  • 小沢城跡の富士塚に登頂
    小沢城跡の富士塚に登頂

以上のように、『新編武蔵風土記稿』と稲城を題材として、史料の読み方や地域文化の調べ方を身に付けたところで、受講生全員が現在住んでいる市区町村の中から、興味を持った名所旧跡を1つ取り上げ、『新編武蔵風土記稿』のような史料を根拠に、「あなたが住んでいる地域文化の魅力を再発見」し、「地域の名所旧跡から日本文化を考察」するというコンセプトで、各自が調べた成果を発表してもらいました。以下は発表テーマの一部です。

  • 東京都稲城市坂浜天満神社から考える天神信仰
  • 畠山重忠終焉の地はなぜ横浜市旭区鶴ヶ峰・二俣川なのか
  • 横浜市旭区白根神社から考える鎌倉幕府と白根の関係
  • 埼玉県入間市円照寺の板碑から考える中世武士の墓
  • 群馬県板倉郡雷電神社のナマズ様と地域の関係

いずれの発表も、各自が在住している地域の文化を見つめ直す機会となったばかりではなく、各地のさまざまな事例から日本の文化の特徴を再認識できる充実した内容でした。

下川 雅弘

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