8月17日オープンキャンパス体験授業から

8月17日のオープンキャンパスで、日本文化専攻は「令和元年の万葉集」と題して万葉集の歌人大伴家持(おおとものやかもち)の絶唱3首を中心にした体験授業を行いました。家持は、元号「令和」にゆかりの深い大伴旅人の息子です。彼は奈良時代後半の激動する政界を生き抜いた官人でもありました。

うららかな春二月に、大伴家持は次のような3首の歌を詠みました。

  1. A 春の野に霞たなびきうら悲しこの夕影に鶯鳴くも(万葉集巻19・4250番)
  2. B 我が宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも(巻19・4251番)
  3. C うらうらに照れる春日に雲雀上がり心悲しもひとりし思へば(巻19・4252番)

当日の体験授業では、上記3首の内容を紹介した上で、受講した高校生の皆さんを対象に、どの歌がもっとも気に入ったか、アンケートを取りました。アンケート回答を提出してくださった皆さんの結果は、Aが6票、Bが3票、Cが11票で、Cが一番の人気作品となりました。この3首はどれも名歌ですが、この結果は体験授業担当者の予想とも一致したものでした。

大学における学びは、教員の話を聞いて要点を記憶するばかりでは十分とはいえません。自分なりの視点を持ち、自分で考えることが大切です。そうして、自分の考えをだれにでも理解可能な形で示すことが出来るようにならないと文学の勉強をしたことにはなりません。体験授業は短い時間ですから、とても自分なりの考えを突き詰めることはできませんが、まず「これらの作品を自分はどう受け止めるか」を考えてもらう第一歩としてのアンケートでした。

アンケートに添えられた受講者の皆さんのコメントを少し紹介しましょう。

文学の研究は「言葉」をとおして人間を学ぶことです。実に多くの思いを私たちは「言葉」から受け止めます。たった一言に励まされることもあれば、たった一言によって深く傷つけられることもあります。「言葉」を学ぶ時に大切なのは、「えらい先生がこう言っていた」ということでもなく、「辞書にはこう書いてある」ということでもありません。他人の意見ではなく、「私はどう考えるか」からすべてが出発します。そうでないと、責任のある「言葉」を発することはできません。

受講者の皆さんのコメントは時間の都合で短いものでしたが、それぞれ「私の考え」を表現しようという熱意にあふれていました。皆さんの大学での学びが、きっと豊かなものになるだろうことを確信した体験授業でした。

担当 三田 誠司

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