授業紹介「日本文化ゼミ」 ―外交官の見た明治の日本語―
2022/05/13
日本文化専攻の石川です。私の3年生の日本文化ゼミ(日本語)では、日本語やそこから見えてくる日本文化について、イギリス人外交官として知られるアーネスト・サトウの本から考えています。
アーネスト・サトウは、大変日本を愛した外国人の一人です。彼は、母国のイギリスにおいて、兄からすすめられた1冊の本から、日本について興味を持ったとされています。彼は、1862年から1883年と、1895年から1900年まで、幕末から明治初頭の日本に滞在し、日本文化に関わるさまざまな著作をのこしています。
アーネスト・サトウ『維新日本外交秘録』
(維新史料編纂事務局,1938年)より
(国立国会図書館デジタルコレクション)
私のゼミでは、アーネスト・サトウの著書の中で、日本語の会話学習のテキストである『Kuaiwa hen(会話篇)』(1873年)を読んでいます。この本では、江戸時代後期から明治期初頭にかけての日本語だけでなく、当時の人びとのくらしまで知ることができます。
たとえばサトウは、「person」のことを「ひと」ではなく「しと(shito)」と表記しています。「ヒ」を「シ」と発音する下町言葉の姿を、外国人による150年前のテキストから知ることができます。
ゼミ生も、『会話篇』にみえることばと現代の共通語との違いはもちろん、当時の新年の挨拶や、天候に関わることば・住宅事情など、さまざまな観点から日本文化について考えています。取り組みの成果はあらためてご紹介しますので、どうぞお楽しみに。
石川 創