日本文化専攻の新年度メッセージ ―文化の受容から発信へ―

本学へと続く坂道の桜が今年も新しい季節の訪れを告げるなか、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして、新年度より日本文化の専門的な学びを始める33名の2年生の皆さん、ようこそ日本文化専攻へ。

  • 桜の花が満開のキャンパス
    桜の花が満開のキャンパス

さて突然ですが、「日本の文化の特徴とは?」と質問されたら、新2年生の皆さんはどのように答えるでしょうか。日本には四季折々の自然環境のなかで育まれた、現代につながる人びとの長い伝統と文化があります。そうした日本の文化の特徴を正しく理解するためには、日本列島で暮らしてきた人びとの営みを、歴史学・民俗学・文学・言語学といったさまざまな学問の視点から、根拠をもって正しく考察する力が必要です。日本文化専攻は、こうした多彩な学問分野の研究方法を修得して、「日本の文化の特徴とは?」に対する答えを自ら発見し、日本の文化の魅力を世界に発信できる人材の育成を目的としています。

日本の歴史を振り返ってみると、古代より、たとえば稲作・製鉄・養蚕・漢字・仏教・貨幣をはじめとする多くの文化を、日本は大陸から受容してきました。また近代になると、日本は西洋文化を積極的に取り入れ、欧米に追いつくことを目指しました。このような史実に基づけば、日本の文化の特徴は、まるで独自性のない「ものまね文化」であるように感じてしまいますし、実際そのような捉え方は一般的かもしれません。

けれども、見方を変えるならば、日本は古代より近代に至るまで、つねに海外の進んだ文化を貪欲に学び続けてきたとも捉えられます。他国の文化に深く関心を寄せ、その高度な技術や制度を懸命に理解し、自分のものにしていったのです。この熱心な日本の学びの歴史には、ただただ驚かされることも少なくありません。さらには先にあげたような稲作にせよ製鉄にせよ、その他の海外から受容した文化も含めて、いずれも日本の自然や社会に適するように、独自の進化を遂げています。このように捉えると、日本の「ものまね文化」には、もっと積極的な評価が与えられてもいいのではないでしょうか。

とはいえ、これまでの日本の文化の歴史が、海外からの受容中心であった事実は認めざるを得ないでしょう。ところが近年、たとえばアニメやゲームや和食などに顕著にみられる通り、海外に日本の文化を積極的に広めようとする気運が高まっていますし、海外からもこうした日本の文化に対して関心が寄せられてきています。このような双方向による文化交流の現象は、日本の歴史が始まって以来、初めてのことかもしれません。アニメやゲームに限らず、日本にはもっと多くの魅力的な文化があります。日本文化専攻の皆さんには、日本の文化の特徴を地に足をつけて自ら発見し、その魅力をさまざまな手段で世界に発信していってほしいと願っています。

下川 雅弘

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