感染看護学 培養実験演習

基礎看護学 堀 良子

2年生の科目の一つに「感染看護学」があります。看護統合科目で最初に学習する科目です。感染予防は今日の医療においては不可欠で非常に重要な課題であり、すべての看護に共通する基礎的知識として学びます。

「感染看護学」では、患者および医療者自身の身を守るための感染予防の方法を、知識として学んだあと、実際に細菌の培養実験を行って目で見て確かめるという次のような授業を組み込んで行っています。

  1. 手指の常在菌の存在を確認するとともに、流水と石鹸による手洗いと消毒薬による手指消毒前後での感染防止効果について考察する。
  2. 口腔内常在菌の存在を確認するとともに、マスクによる感染予防効果について考察する。
  3. 環境表面に付着している細菌の存在を確認する。

培養結果は、手指消毒薬を用いて適切な手指衛生を行うと、殆ど細菌は検出されませんが、流水と石鹸の手洗いでは、手洗い後コロニー数が多くなる場合があります。そこで学生は、なぜだろうか考えます。手指表面の菌(一過性に付着しているだけの菌で院内感染の原因となる病原菌を含みます)は石鹸で簡単に洗い流せますが、感染予防の手洗いは、洗い残しのないようよく擦って洗う手洗いなので、擦ることにより皮膚奥に潜んでいる常在菌(棲みついている菌)が表面に浮き出てくることにつながります。そこで手を洗った後に常在菌のコロニー数の増加がみられるのですが、常在菌は通常院内感染の原因とはならないので、菌数が増加しても手洗いが有効であることを学びます。また、マスクを着けておしゃべりすると、口の近くに置かれた培地上に殆ど口腔内の菌の検出が見られないことも確認します。

今回ご紹介するのは、その授業で培養をした後、培地にどのような種類の菌コロニーがどれだけ検出されたかを観察、スケッチしてグループメンバーと共に結果を考察することを実施している場面です。

  • 手形の培養した培地をグループメンバーで確認しながらディスカッションしている
    手形の培養した培地をグループメンバーで
    確認しながらディスカッションしている
  • 培養培地を観察し、スケッチしている
    培養培地を観察し、スケッチしている

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