福祉施設の現場で働く卒業生(1989年度卒業 社会福祉法人ともかわさき 「ちとせ」 御原恵子 先生)

私は1988年に入学しましたので、1年生の時は桜新町の校舎、2年生の時は新築したばかりの稲城の校舎で学びました。どちらの校舎も思い出深いのですが、特に稲城校舎はとてものどかな場所に立っているので、その頃は新百合ヶ丘駅からバスに乗ると遠くに牛が見えたりして毎日ピクニック気分で学校に通っていたことをよく思い出します。

卒業後4年間は幼稚園教諭、その後幼児教室のスタッフを経て現在は障害をお持ちの方々の通所施設の施設長をしております。学生時代は幼稚園の先生になることしか考えていなかったので、実習で障害児の入所施設に初めて行った時は、かなり緊張したことを今でも覚えています。その頃の自分はこの先20年以上も障害福祉の分野で働き続けるなんて想像もしていませんでした。ただ、この実習で障害児者も私たちと何も変わらないという事を実感し、それが現在の自分の礎となりました。

障害という今までとは違う分野の仕事に飛び込み、初めは分からない事や思い通りにならないことも沢山ありましたが、働いていく中で自分がいかに無力であるかが身に染みて分かり、それを受け止め受け入れた頃からとても楽になりました。その頃から困難があっても乗り越えた時の達成感が充実感に変わり、どんな業務も楽しく感じるようになったと思います。現在の仕事を天職とまでは言いませんが、続けて良かったと遣り甲斐を感じて毎日働いております。

こどもと障害者の違いはありますが、同じ人間相手の仕事。今の仕事に学校で学んだことや幼稚園で働きながら培ったことは、とても役に立っています。中でも音楽は素晴らしいコミュニケーションツールになっております。特に童謡などはあらゆる年代の方々に愛されているので、学校や幼稚園で覚えた色々な歌は、沢山の人たちと自分を結び付けてくれる財産です。私は得意ではありませんが楽器が演奏出来ると、更に沢山の人々とコミュニケーションを取る事が出来ると思います。

最後に障害児についてお話させて頂きます。障害の分野では早期発見と早期療育が重要と考えられておりますが、個別的な配慮の必要なこどもの多くは幼稚園や保育所で保育者の方々が気付いて下さっています。保育や幼児教育の道に進む学生の皆さんにも、沢山のこどもたちが幸せになれるよう、障害についての知識を蓄え早期発見に尽力して頂ければ幸いです。

  • 障害者施設の現場で働く御原先生
    障害者施設の現場で働く御原先生

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