日本とパレスチナを結ぶ―パレスチナ刺繡帯プロジェクトによる特別授業

観光文化学類 杉野 知恵

最近のニュースでは、ガザ、イスラエル、空爆、地上侵攻といった言葉が毎日飛び交っています。ハマスが数千発のロケット弾をガザ地区からイスラエルに向けて発射したという第一報を私が聞いたのは、10月7日の学園祭(りんどう祭)の最中で、パレスチナの文化を紹介するため、パレスチナ刺繍帯プロジェクト代表の山本真希さんのご協力を得て、伝統的な刺繍をあしらった帯の展示を行っていたときでした。今回が多摩地区初の展示で、多くのお客様に立ち寄っていただきました。

  • りんどう祭での展示の様子
    りんどう祭での展示の様子
  • りんどう祭での展示の様子
    りんどう祭での展示の様子

翌週の13日には、観光文化入門Ⅱの授業に山本さんをお招きして特別授業を行いました。もともとは、刺繍をきっかけにパレスチナや中東問題への関心をもってもらうおうと企画していたものですが、緊迫する現地情勢についての連日の報道を踏まえ、紛争・戦争ではなく、文化を切り口に平和とパレスチナの今を考える授業になりました。

授業では、山本さんが会社員をやめてパレスチナ刺繍帯プロジェクトを立ち上げたきっかけや、2021年にUNESCOの無形文化遺産に認定されたパレスチナ刺繍が施された美しい民族衣装の紹介のほか、刺繍帯が出来上がるまでの過程と日本とパレスチナの2つの文化の間でものづくりをする際に心がけていることなどを伺いました。

私からは、パレスチナ問題はハマスの攻撃という最近の出来事だけを取り上げて判断できるようなものではなく、現状に至るまでの歴史的な経緯やこれまでの国際社会の対応などを含めて考えていく必要があると伝えました。紛争が激化している今だからこそ、学生には文化のもつ力や可能性にも目を向けてもらいたいと思っています。

  • 授業の様子
    授業の様子
  • 授業の様子
    授業の様子

最後に学生の声をご紹介します。

山本さんのお話から学生は広い視野を持つ大切さに気付くとともに、この先の生き方を考えるうえでも大いに刺激を得ていました。このような大変なときにもかかわらず、山本さんには2週にわたってご協力いただき、感謝申し上げます。

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