H.I.S.寄付講座「観光文化入門Ⅱ」授業レポート~観光産業関係者によるパネルディスカッションと学生研究発表会を開催~
2020/02/14
入門科目「観光文化入門Ⅱ」では、H.I.S.の協力で観光ホスピタリティ産業の様々な分野で活躍する女性を講師にお迎えして講義を行ってきました。今回は、この科目のまとめとして開催した第14回目のパネルディスカッションと、第15回目の研究発表会の様子を紹介します。
1月10日(第14回目)には、「旅の力を考える~旅が与える人生とキャリア~」をテーマに、下記4名のゲストをお招きしてパネルディスカッションを行いました。パネリストは、同じツーリズム産業に関わるとはいえ、中小企業、大企業、起業家とそれぞれ立場の異なる方々です。多様な働き方、ツーリズム産業の可能性、そして女性活躍について活発な議論が行われました。
モデレーター | 株式会社トラベルジャーナル 副編集長 上野良子氏 |
---|---|
パネリスト |
|
日本を代表する旅行業界誌「トラベルジャーナル」の副編集長を務める上野氏の進行で議論を進めて頂きました。冒頭、事前に授業内で学生を対象に行った「キャリアと社会に対する意識調査」の結果とそれに対する意見を述べて頂きました。就職や仕事において男女差別があると認識している学生が多いという調査結果に対して、パネリストからは「ツーリズム産業は女性が顧客の主役になっており、他の産業に比べて女性活躍が進んでいる。出産育児の時期でもリモートワークやフレックス制度など働きやすい環境が整いつつある。」という業界の特徴について紹介がありました。その一方で、「国際比較をすると特に経営者など意思決定者レベルではジェンダーギャップがあることも事実。」と、課題についても言及されました。
そのほか、旅に関わる仕事を選んだきっかけ、キャリアを形成するうえでの仕事との向き合い方や人との接し方、世界や異文化に接して考えること、ツーリズム産業の可能性などについて議論がなされました。結婚・妊娠・出産・育児など女性ならではのライフイベントで働き方がどのように変わったかなど、実体験に基づいた議論は学生にとって大変刺激になったようです。
学生のコメント
- 女性が働きやすい社会になっているということを聞いて、勇気を持ちました。女性だから差別されるなどネガティブな考えではなく、女性しかできない仕事もあるのだという言葉が印象的でした。
- 自分で人生の幅を狭めてはいけないということを改めて学びました。私は挑戦する前にどうせ無理だなと諦めてしまう傾向があるので、固定観念を取り払って行動しようと思いました。
講義最終回の1月17日(第15回目)には、課題レポートで優秀な評価を得た学生による研究発表会を行いました。発表者の選抜は、担当教員とH.I.S.社員との総合評価によって行いました。
下記が5名の発表者のテーマです。
- 観光文化学類1年 K.Sさん「ANAにおける多様な働き方に関する研究」
- 観光文化学類1年 M.Hさん「旅の力と小さな旅」
- 国際文化学科3年 I.Mさん「ホテル業界における事業環境の変化とツーリズム産業の可能性に関する研究」
- 国際文化学科3年 I.Mさん「日本と海外のOTAの課題と持続可能な解決策」
- 国際文化学科3年 K.Sさん「旅する人を増やす方法に関する研究」
発表した学生は、大勢の前にもかかわらず堂々とした素晴らしいプレゼンテーションでした。またレポート内容が文献をまとめるだけでなく、独自の調査をもとに論理的に考えを述べるものでした。発表会は、学生同士が互いに学び合う良い機会になりました。
最後に、H.I.S.執行役員人事本部長の有田浩三氏より発表者に対する講評と授業に対する総評としてお話を頂きました。
この授業は、社会で活躍するゲストの実体験に基づいた話を通して、ツーリズム産業の広がりや可能性、多様な働き方や生き方について女性視点で学ぶということを目的としています。大学での教育研究と産業界での実践が連携することは、社会において「観光」が役割を増すなか、相互にとって大いに意義のあることです。授業では、ツーリズム産業で活躍する総勢17名の女性の方々にご登壇頂き、学生は最新の知見を得られただけでなく、刺激と勇気を与えられました。また、この授業には、社員研修の機会としてH.I.S.の女性社員にも聴講して頂き、相互に有益な産学連携の新たな形を提示するものとなりました。
この授業は、多くの方々の多大な協力のもとに成り立っています。社会貢献事業として多大なご協力を頂いたH.I.S.の皆様、未来を担う若者のためにとご登壇を快諾して頂いたゲストスピーカーの皆様には感謝の意を表します。また、初めての試みにも関わらず、積極的に授業を参観して頂き、多くの助言や激励を頂いた観光文化学類の先生方のチームワークなしでは無事に終えることはできませんでした。本当にありがとうございました。
この授業は2020年度も開講予定です。ご期待ください。
(担当教員:鮫島卓)