平成26年度 「滝乃川学園」施設見学 (保育科1年「特別支援教育Ⅰ」)
2014/06/18
保育科1年「特別支援教育Ⅰ」(担当:児島早苗先生)の授業の一環として、「施設支援の課題について施設見学を通して学ぶ」というテーマで、5月17日(土)と5月31日(土)の2回に分けて、保育科の1年生全員で「滝乃川学園」の施設見学を実施しました。
「滝乃川学園」は、日本最初の知的障がい児のための福祉施設で、創立以来120年の歴史があり、知的障がい児福祉施設の歴史及び現状を学ぶことを目的として施設見学が行われました。
場所 : | 「滝乃川学園」 東京市国立市谷保6312 電話 042-573-3950 http://takinogawagakuen.jp |
日時 : | 平成26年5月17日(土) 美・善の組 平成26年5月31日(土) 真・聖の組 |
引率教員 : | 児島 早苗(非常勤講師) 金澤 延美・大村 海太(駒沢女子短期大学専任教員) |
「滝乃川学園」の歴史を学ぶ講義の様子
学園内の聖三一礼拝堂見学・「天使のピアノ」の演奏風景
※「天使のピアノ」について
「天使のピアノ」は本館に所蔵されていた、創立者の妻筆子が愛用したピアノです。1885(明治18)年頃横浜のデーリング商会が製造販売したもので、戦前は筆子がこのピアノでクリスマス祝会等に演奏を披露したと言われています。
やがて、筆子が亡くなり戦後何十年も忘れ去られていましたが、学園史研究会のメンバーによって1995(平成7)年に発見され、1997(平成9)年に日本ピアノ調律師協会に鑑定を依頼したところ日本に現存する最古のアップライトピアノであるとされました。
その後学園と音楽を愛する市民の方々と、日本調律師協会の献身的なご努力によって復元されました。現在では、園内の聖三一礼拝堂、記念館講堂でのコンサート、都内各地でのコンサート等に供され、鹿鳴館時代の音を皆様にお届けしています。2003(平成15)年には国立市の登録文化財に指定されました。
「天使のピアノ」の名の由来は、鍵盤上の板に、2人の幼児を抱いた天使が描かれているガラスが嵌めこまれているところにあると言い伝えられています。
(「滝乃川学園」ホームページより http://takinogawagakuen.jp/commemoration/)
学生の感想
※施設見学を終え、授業の中でまとめられた「滝乃川学園見学レポート」の一部を抜粋したものです。
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私は「滝乃川学園」の創立者石井亮一先生とその妻筆子先生に感銘を受けました。国家の統一下に置かれる教育が推し進められている時代に、石井先生夫妻が「みな平等である」というキリスト教の精神を貫き、女子教育や知的障がい者の教育を進めてきたことは偉業であり、その精神力に驚くばかりでした。私は、障がい者の教育は、これからの社会では固定的観念にとらわれず、誰もが直面しうる問題であることを念頭におく必要があると思います。そして、同じ人間として一人ひとりを見つめた社会づくりを担う一員でありたいと思いました。(武井 侑子)
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「滝乃川学園」は日本最初の知的障がい児者のための施設で、創立から123年続いていることを知りました。創立当時は親の病気で施設に入所する人が多かったが、現在は親の離婚や虐待が主な理由であると伺いました。そのような子ども達のケアをきちんとするためにも、この施設がとても重要であると感じました。また、「天使のピアノ」に触れ、当時のピアノは部屋中に音が残るような優しい音色だと感じました。筆子さんは、日々の大変な業務の中、どのような時に、そして、どんな気持ちでこの「天使のピアノ」を弾いていたのかと思いました。(永松 春佳)
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「特別支援教育Ⅰ」の授業で、初めて「滝乃川学園」の名前を知り、実際に訪問させていただき、「滝乃川学園」を創設するに当たり、さまざまな人々の援助があったからこそ現在まで続く施設になったのだと思いました。そして、支援の必要な人々のために「求められる福祉」を積極的に進めてきているのだと強く感じました。今回の見学を通して、この「滝乃川学園」は、社会福祉法の「個人が尊厳を持って、その人らしい自立した生活が送れるように支える」という面を一番重視していると思いました。(小野寺 美緒)
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この「滝乃川学園」が、123年もの間、続いているのは、創立者の石井亮一先生と石井筆子先生の障がい者の方々への熱い支援があったからこそ、今日に至っていると考えられます。今回の施設見学や「特別支援教育Ⅰ」の授業を通じて、障がい者の方々への考え方を変えることができました。障がいを持った方々は、遠い存在ではなく、皆同じ人間として生きていて、皆平等であると改めて確認することができました。そして障がい者の方々をサポートする職業は、改めてすばらしく、尊敬できると思いました。(髙木 千恵美)
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「滝乃川学園」を見学させていただくまでは、施設には、建物があり、周りを塀で囲まれていて、とても質素なものであろうと思っていました。しかし、「滝乃川学園」はとても自然豊かで、入り口付近には「森のカフェ」というカフェがあり、作ったケーキなどを提供して、散歩がてらに立ち寄る方々にも大変人気だそうです。施設の中だけではなく、地域の方々との交流があり、地域に根ざした施設であると思いました。そして入所されている方々も安心して、のびのびと利用できるというところが、「滝乃川学園」の良いところであり、福祉施設においてとても重要なことだと思いました。(工藤 みなみ)
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「滝乃川学園」を見学させていただいて、その設備や、取り組みにとても感動しました。「滝乃川学園」は、「弱い者を助けることは神を助けることと同じである。」というキリスト教の教えに基づき、孤児の中でも障がいを持った子どもを支援したいという石井亮一先生の考えを受け継いで、いろいろな取り組みを率先して行ってきた施設だと伺いました。このような福祉施設にとって大切なことは、実際の現場のニーズをよく見極め、そのニーズに応えるための支援を行っていくことなのだと思いました。(山本 彩乃)