第5回オープンキャンパス 7月23日(土) 体験授業(田中)

重大な栄養問題「低栄養」を知っていますか?

近年、日本において食思不振症、がんなどの患者様や、高齢者など気が付かないうちに「たんぱく質・エネルギー栄養障害(PEM)」という非常に危険な低栄養状態に陥るといった栄養問題が起きています。

PEMとは、エネルギーとたんぱく質が欠乏した状態で、健康な体を維持し活動するのに必要な栄養素が足りなくなる状態をいいます。この過食の時代に低栄養状態になるとは信じられないかもしれませんが、若い女性のやせ願望からおこる食思不振や、病気によって体内に蓄えられている筋肉や脂肪がエネルギーとして使われてしまう場合、及び高齢になると食欲低下により栄養も水分も充分に摂れなくなることなどが原因として挙げられます。

特に高齢者において身体機能や認知機能が低下して虚弱となることをフレイル(虚弱)といいますが、その結果、筋肉量が減少し筋力や身体機能が低下し噛む力も失われるサルコペニアという状態になります。さらに低栄養状態では、食べる力が失われ寝たきり状態や死に至る危険性も高く、やせた人は太っている人より死亡率が高い傾向であると報告されています。

そこで今回の体験授業では、低栄養状態を防ぐための基本的な栄養管理の一部をご紹介いたしました。管理栄養士が低栄養状態を判定し患者様の栄養管理を行うためには、「栄養ケアプロセス(NCP)」といった手法を使います。NCPは、栄養管理システムや用語・概念の国際的な統一を目指し、アメリカ栄養士会の提案で始まった栄養管理の手法です。①栄養アセスメント、②栄養診断、③栄養介入、④栄養モニタリングと評価の4段階で構成されていますが、特に臨床診査、身体計測や血液検査などの臨床検査、及び食事摂取量などの栄養アセスメント(評価)を実施することが重要なポイントです。その結果をもとに、栄養の判定、栄養介入、モニタリングなどを行い、チーム医療によって患者様の栄養状態を安定させていくことが「臨床栄養学」という分野になります。患者様の栄養管理は並大抵のことではありません。低栄養状態を改善させるまでしっかりと経過を観察していくことが大切です。

今回の体験授業から、自分が管理栄養士として関わった患者様が元気になっていく姿を想像することができたなら、きっとこの体験授業は大成功です。

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