第22回日本病態栄養学会年次学術集会で発表しました

2019年1月11日〜13日パシフィコ横浜で行われた、第22回日本病態栄養学会年次学術集会(参加者数:5,320名)において、本学科の4年生が発表を行いました。テーマは以下の3つです。

  1. スローカロリーシュガー※摂取による糖尿病高齢者への血糖に与える影響〜持続血糖測定器リブレを使用して〜
  2. 乳和食を用いた血糖値の測定及び有効性の検討
  3. 1型糖尿病サマーキャンプにおける 摂取量調査報告書(お食事メモリー)の教育効果の継続について

3つ目のテーマは、西村一弘教授の研究テーマでもあり、今回学生と共同研究という形の発表となりました。

1.スローカロリーシュガー※摂取による糖尿病高齢者への血糖に与える影響
 〜持続血糖測定器リブレを使用して〜

研究者:森村優子、村山彩華、野田万美子、高橋由紀
発表者:森村優子

研究内容

高齢の糖尿病患者は、炭水化物を抜くことを病気の対策と考えがちで、これは現在社会問題化している「フレイル」(体がストレスに弱くなっている状態)の一要因となっています。この研究は、低栄養を防ぐためにスローカロリーシュガー(以下SCS)の摂取が、糖尿病患者に良い影響を及ぼすかどうかについて検証するというものです。


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2週間以上のデータを有し、解析可能であった9名を対象として調査したところ、SCSによる影響があったのは8名でした。SCSを長期摂取することで、体重減少の可能性がある、血糖値が安定し薬の量が増加せず体重改善する、血糖値が安定し薬の量が減るといった影響がみられました。
今後は次年度の4年生に研究を引き継ぎ、持続血糖測定器リブレを対象者11名に装着の上2週間のデータ収集を行い、献立からSCS摂取量を算出し、さらに今回解析済みの9名に残り2名分を加え、リブレのデータを加算し解析する予定です。

※スローカロリーシュガー(SCS)とは

ゆっくり消化吸収するので食後血糖値の急激な上昇を抑える/糖尿病でも安心して使用できる/エネルギーが砂糖と同等/甘さは砂糖の3/4程度/甘味がまろやか/合成甘味料、添加物不使用/という特徴があります。

2.乳和食を用いた血糖値の測定及び有効性の検討

研究者:土屋奈央、田中成奈
発表者:土屋奈央

研究内容

先行研究によるとグライセミックインデックス(以下GI)とは、食後の血糖値の上昇度合いを示します。GIが低い食品は、血糖値の上昇がゆるやかであるといわれ、先行研究により主食と牛乳・乳製品を一緒に、あるいは前後に摂取すること、または加工・調理することによって、牛乳による低GI 食が提供できることが明らかになっています。


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また、牛乳には血糖値の上昇を緩やかにする効果があることがわかっていますが、乳和食を利用した一食単位でみた研究では、まだ効果は明らかになっていません。
本研究では乳和食でも同様の結果が得られるのか、乳和食は血糖値の変化に影響を与えるのかについて検討することを目的としました。
対象の21及び22歳の健常者の女性15名のうち5名は、乳和食での実験をした2週間後に常食の実験を行い、残りの10名は先に常食の実験を行いました。
生活習慣病の予防と改善には血糖値の急激な上昇を防ぎ、適正なエネルギーで糖の吸収速度の遅い食事をすることが大切であるため、血糖値の上昇を緩やかにする乳和食の活用が期待できます。また乳和食には減塩やコクがでて美味しいなどメリットがたくさんあるので、是非乳和食を試してみていただきたいと思います。

3.1型糖尿病サマーキャンプにおける摂取量調査報告書(お食事メモリー)の 教育効果の継続について

研究者:飛田京子、西村一弘
発表者:飛田京子

研究内容

現在1型糖尿病治療は、インスリンアナログの開発やインスリンポンプが利用可能になり、食事療法の自由度が高まっています。食事療法では、カーボカウント法やフリーダイエット法を行っている患児が多く、ほとんどが管理栄養士の指導を受けていませんでした。


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サマーキャンプは患児自身が適切な食事摂取量を把握する方法を学ぶ場として重要です。
これらの背景を踏まえて、1型糖尿病患児を対象にしたサマーキャンプ内で配付している摂取量調査報告書(お食事メモリー)を使用し、「お食事メモリー」がサマーキャンプに及ぼす教育効果・改善点を分析し、昨年作成のものに「3食食べたかなカレンダー、行事食、郷土料理」などを加え、新たにお食事メモリーの作成を行いました。
その結果、多くの患児たちは食事や栄養に対する興味があり、キャンプ後も使用できる媒体の作成により復習をしてもらいやすくなること。サマーキャンプは適切な食事や栄養について学ぶ場として重要であること。お食事メモリーはサマーキャンプの教育効果に影響を及ぼしている可能性があること。などがわかりました。

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