令和6年度保育科「海外研修」が開催されました

2025年1月17日、令和6年度保育科海外研修が韓国とのオンライン中継で開催されました。今年は、2020年度にもご講演いただいた韓国・水原市のイジ幼稚園園長、パク・スジン先生をお迎えしました。講演では、韓国の保育士の待遇やイジ幼稚園の子どもたちの活動の様子を詳しく説明してくださいました。

イジ幼稚園の立地と施設環境

イジ幼稚園のある水原(スウォン)は、高速鉄道でソウルから30分の都心部にあります。水原ではマンションタイプの住居が多く、マンションの中の限られたスペースに保育施設が設置されていることが多いのですが、イジ幼稚園は都心部でありながら、広い敷地を確保しています。園庭が広く、園庭の畑でさまざまな野菜や果物を育てることができ、自然と触れ合える環境が整えられています。

日々の活動内容と子どもたちの様子

食育に力を入れており、毎週金曜日には特別給食が用意されています。栄養バランスだけでなく、視覚的にも楽しめる盛り付けを工夫したり、お庭でビュッフェランチを開催したりして、食事が苦手な子どもでも興味を持てるよう配慮しています。
また、海に行ったことのない子どもたちのために、「園庭に海を作ろう!」というアイデアのもと、プールにわかめを入れて海藻の匂いや感触を体験していました。遊びの発想の豊かさに、学生たちも驚いていました。

室内の活動では、ダンスやスピーチ、アートなど、充実した保育環境のもとで多彩なプログラムが行われています。特に、子どもたちが自由にストーリーを考え、自分で本を作る活動は、イジ幼稚園独自の取り組みとして考案されたもので、外部からも関心を持たれ、学びに訪れる人がいるそうです。

また、ICTを積極的に活用した活動を通して、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力を、自然な形で保育に取り入れています。園児たちが数の概念を学ぶ様子を動画で見せていただきましたが、遊びの中で楽しみながら足し算・引き算・掛け算を習得している姿に、学生からも驚きの声が上がりました。

英語教育では、カードゲームを取り入れ、園と家庭が連携して遊びを共有しながら、学習効果を高める工夫がされています。韓国では、幼児期から習い事を通じて勉強する子どもが多いそうですが、イジ幼稚園では、保護者の「勉強させたい」という要望を受け入れつつも、「楽しむ」ことを大切にし、遊びを通して学ぶことにこだわっています。

保育士の待遇の違い

特に、日本と韓国の違いとして印象的だったのは、韓国では保育士の給与が一般企業よりも高いことでした。学生からは「うらやましい」という声が多く上がり、講演後の質疑応答では「韓国で保育者として働くにはどうしたらよいですか?」という質問もありました。将来の夢を海外にも広げる学生も見られました。

そして最後に、パク園長先生が学生たちに「なぜ保育士になりたいと思ったのか」と質問し、一人ずつ答えました。学生たちのさまざまな思いを聞いた後、パク園長先生から励ましの言葉とお褒めの言葉をいただきました。

このような交流の機会を通じて、日本と韓国の保育の違いを実感することができました。また、イジ幼稚園が保育の中で「遊び」を大切にしている点は、本学の保育理念とも共通していることが分かりました。異なる視点から比較することで、保育のあり方について深く考える機会となり、学生にとって視野を広げる貴重な経験となりました。

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