第2回オープンキャンパス 6月4日(土) 体験授業(井上)

地域特性に対応した食育・健康づくり・介護予防の実践(公衆栄養学)

わが国は少子高齢化のまっただ中にあり、その傾向は今後も続いていきます。今、18歳の皆さんが65歳になる頃には約4割が高齢者、約1割が年少者となり、働く方がこの両者を1人で1人の割合で支えなければなりません。しかも、介護が必要な高齢者は減ることなく、着実に年間20万から30万人増加しています。その結果、介護費用も今では約9兆円に達し、このままではわが国の財政を益々圧迫することになります。

そのような中、高齢化が最も進んでいるわが国では、様々な政策に取り組んでいます。その一つとして厚生労働省が最も力を注いでいるのが、「地域包括ケアシステム」という制度です。これは、高齢者や介護を担当することになる家族から多く寄せられた「自宅で家族からの介護と外部の介護サービスとを組み合せて介護を受けたい」というご意見をもとに、国としては住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に提供していこうとするシステムです。これまで、縦割り行政により医療、介護、予防の分野がそれぞれにサービスを行っており、今一つ、一人の高齢者に対するきめ細かなサービスの連携が連続した形態(密な情報交換によるサービス)とは言い難い状況でした。このため、国は、これらを解決するために、高齢者がどこでサービスを受けようとも、施設間、施設と居宅間において密な連携と情報交換をもとにサービスを提供していこうとしています。これらの施設間、施設と居宅間でコーディネータとしての役割を果たしているのが地域包括支援センターです。地域ではこのセンターを中心に、地域が一体となって、地域の特性に応じてこのシステムを作り上げていこうとしています。これらのシステムは特定の施設により成り立つものではありません。このことから、私たち大学でも、このケアシステムの中の一員として、栄養面(療養指導を含む)や運動面の専門的立場から地域において貢献できないかと思い、動き出したのが、わが学園に設置された健康栄養相談室です。これまで公衆衛生・公衆栄養分野は保健センター、保健所が定番でしたが、これからは大学もこれらの行政機関と連携を図り、少しでも多くの高齢者に対するサービスを提供していかなければなりません。どのような形で、大学が地域に貢献していくかを、今、模索しながら動き始めています。

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