リレーコラム「私の4年間」 / 「恥ずかしかったこと」 城田春菜

  • 「恥ずかしかったこと」 城田春菜

1年の4月、入学したての私は、教室のすみでノートのはしっこに落書きをして楽しんでいました。誰にも見せるつもりはなかったのに、うっかり同級生に見られてすごく恥ずかしい思いをしました。

2年の授業で、作品の発表会がありました。自分で作った紙芝居を20人ほどの前で読むというものでした。朗読が恥ずかしすぎて泣きました。泣きながら紙芝居を読んで、発表を終えました。

3年の夏季休暇に、インターンシップへ参加させていただけることになりました。出勤用にはりきってパンツスーツを買い、いざはいてみるとサイズが小さくてチャックが壊れました。ひとり、部屋の中で恥ずかしくて、情けなくなりました。

思い出さないようにしているだけで、恥ずかしい思いをしたことはまだまだあります。つらかったことも、腹が立ったことも、苦しくて眠れなかったこともいっぱいあります。それでも私は、この学校で4年間を過ごすことができて、とてもうれしいのです。

あのとき落書きを見た同級生は、私と一緒に落書きをしてくれる友達になってくれました。恥ずかしかった発表会は、発表に対する考え方を変えるきっかけになり、その後の授業のプレゼンテーションで拍手をいただけるようにまでなりました。身支度すらしっかりできなかったインターンシップでは、制作した大学の紹介冊子をほめていただき、オープンキャンパスで配っていただけることになりました。恥ずかしい思いをしたことは、無駄にはなりませんでした。

大学生活のなかで、なにをしてきただろう、どんなものを得ただろう。4年生になり、そう質問されることがたくさんあります。私は、「誰かの見えないところで恥をかきながら、頑張っている人がいる。そのことを知って、わかってくれる人が必ずいる」と、そう思います。そう気づくことができたことが、この4年間で得たいちばん大きなものです。

面接で、「お茶がおいしい」なんて恥ずかしい話をしてしまった出版社に、来年からお世話になります。わからないことばかりの社会で、いっぱい恥をかくと思います。恥をかきながら、その恥を無駄にしないような仕事をしていきます。

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