【授業紹介】人文科学としての映像表現に誘う「情報デザインリテラシー」

みなさんはきっと、プロモーションビデオやドラマ、映画、アニメーションなどいろいろな映像に興味があることでしょう。映像は、動画共有サイトや視聴者の投稿映像など、エンターテインメントやビジュアル重視の映像が前面に出てくることが多く、娯楽や嗜好性の強いものと思われがちです。でも、そのコンテンツの根底には人文学部のコアである「文化」が隠されています。ジブリ映画の『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』はその最たるものでしょう。

映像表現の歴史は、エドワード・マイブリッジ(アメリカ)が疾走する馬の連続撮影(1878年)をしたことにはじまります。その後、トーマス・エジソン(アメリカ)のキネトスコープ(1891年)、リュミエール兄弟(フランス)のシネマトグラフ(1895年)が登場し、映像表現は世界中に広がっていきました。


  • 『月世界旅行』(1902)

  • 『極北のナヌーク』(1922)

1896年、フランスの奇術師ジョルジュ・メリエスが演劇をベースにした初期の映画を作りはじめ、現代にも通用するSFX技術を開発しました。SFXは奇術(マジック)だったのですね。その後もメリエスは数多くの映画を発表し、その中でも1902年制作の『月世界旅行』はあまりにも有名です。ドキュメンタリー映画においては、イヌイットの生活を生々しく記録したロバート・フラハティ(アメリカ)の『極北のナヌーク』(1922年)、イランの遊牧民バフティヤリ族の大移動を追いかけたアーネスト・シュードサックの『The Grass』(1924年)、ドキュメンタリーに最先端の撮影技術や演出を導入したジガ・ヴェルトフ(ロシア)の『カメラを持った男』(1929年)などが有名です。受講する学生は、世界史で学んだことが映像として残っていることに驚き、その生々しい生活を目の当たりにしてさらに驚いていました。まさに映像のマジックです。


  • 『The Grass』(1924)

  • 『カメラを持った男』(1929)

1年次の「情報デザインリテラシー」では、これらの映像作品を通して、文化や歴史に裏付けられた映像表現を学びます。後期授業では、こんどは自分たちが表現者になって公共広告制作に挑みます。

(明田川紀彦)

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