「みせ」の新しい意味を考えるコンペに取組む -授業「空間演出B」から- 3年生 安彦奈津実さん 第11回主張する「みせ」学生デザインコンペ優秀賞受賞
2014/03/04
住空間デザイン学科の3年生後期の授業「空間演出B」では毎年複数のコンペから学生が自身で挑戦するものを選び、フレッシュなアイデアを盛り込んだオリジナル作品のコンペ応募に取組んでいます。入学からここまでに培った思考力やデザイン技術を結集して、制作した作品を世に問うコンペティションに応募するのはとても刺激的なチャレンジです。
学生達はそれぞれのコンペが問うテーマを深く考え、さまざまな可能性を探求し、自身の提案作品を作ります。素晴らしいアイデアが数多く生まれるエスキースの時間は非常に刺激的です。そして提案を形つくる中で、的確にその目指す所を伝えるプレゼンテーションを目指します。
本年度は住空間デザイン学科3年生 安彦奈津実さんが、第11回主張する「みせ」学生デザインコンペで優秀賞を受賞しました。
http://www.jtocs.or.jp/pdf_file/projects/projects02-14.pdf
公益社団法人商業施設技術団体連合会が、平成15年より毎年実施しているこのコンペは、まちづくり、みせづくりとしての商業施設デザインを題材にして、学生ならではの「創造、感動、価値」などの大きな夢を問う、非常に自由な切り口での提案が可能な、興味深いコンペティションです。
本学科からは一昨年から3年連続の入賞となっています。
1月末に建築会館で授賞式とパーティーが開かれ、会館のギャラリーで作品が展示され、より多くの方に作品を見て頂ける機会を得ました。
安彦さんは今回、持ち家率が下がり続けている日本で、以前は当り前だった柱に線を刻んで子供の成長を記録する「背比べ」の習慣が無くなって来ている事を切り口に、その機能を担う「みせ」が豊かなコミュニケーションの起点になる提案を行いました。
家族の成長を喜び、また長い将来にわたって記録と記憶から楽しいコミュニケーションを生み続ける空間、時間が経って記録の蓄積量がたまるとインスタレーションアートを、温かな印象の手描きのスケッチを中心に存分に表現する良い作品になっています。美しく判り易いプレゼンテーションと、心温まる作品の方向性を評価されての栄えある優秀賞受賞を、指導教員としても本当に嬉しく思います。
今回惜しくも受賞には至らなかった学生達含め、当学科のコンペ参加者のアイデアはいつも本当に斬新な若い視点に満ちていて、特にこの「みせ」コンペでは既成のみせの概念からは思いもよらないような、新しい機能や形態から生まれる素晴らしい効果に心躍される事が多く、毎年私達指導側も非常に楽しい刺激的な時間を過ごしています。一生懸命考えた作品の「意図を判り易く的確に、より魅力的に世の中に伝える」これは今の社会で本当に必要とされる力量です。このコンペを共に乗り越えた3年生の面々はひとまわり逞しくなりました。今後も制作や就職活動に存分に養った力を発揮していくことと思います。
「空間演出B」指導教員 :神村真由美特任准教授
安彦奈津実さんコメント(第11回主張する「みせ」学生デザインコンペ優秀賞を受賞)
- 「この作品では人と人との関係性、特に「家族の成長と思い出」という部分を重視し、成長の記録をみせに残すことでその時間を振り返るきっかけになるように、そんな想いで制作をしました。
今年は履修する2つの授業でそれぞれのコンペティションに取り組みましたが、このコンペでは自分の経験や子供の頃の思い出を軸に、表現したいことをしっかりと決めて臨むことが出来たので、それを的確に伝えるためのプレゼンボードの表現方法などを先生方に相談しながら進めることができ、とても良い経験になりました。
未熟な部分や反省点も多々ありますが、このような大きな賞を頂けて本当に有難く、嬉しく思っています。この経験を次の作品にも活かしたいと思います。