インテリアデザインの仕事「ビフォア・アフター」ブライダル空間編

神村真由美

「ビフォア・アフター」と聞けば、テレビの有名な番組を思い起こす方が多いでしょうか。インテリアの仕事の世界はビフォア・アフターの驚きや感動を創り出す事の連続です。

その空間に今まで無かった全く違う機能を加えたい、古くなり過ぎて使えなくなってしまった、今らしく見栄え良くしたいというようにインテリアの改修を希望される目的は様々です。共通するのは、満足出来ない現状が、お客様を始めとして誰の目にも、とても明らかに見えていて、そのダメな部分が改修設計と工事を行う事で飛躍的に良くなると本当に喜んで頂ける、とてもやりがいのあるお仕事の分野だと言う事です。

一昔前はスクラップ&ビルドと言われ、少し古くなると全部壊して作り直す事が日本では多いと言われてきました。しかし時代が成熟し、人口がそれほど増えていかないこれからの時代は、既存のモノや空間を生かしながら転用したり意味を加えたりしていく時代になりつつあります。住空間デザイン学科でも多くの卒業生がこのような仕事の分野で活躍しています。

今回は私の仕事の一端として改修設計によるビフォア・アフターを見て頂こうと思います。女性が好きな華やかな例としてウェディング系の施設を二つ程お見せします。

例1.「屋上ビアガーデン」→「スカイチャペル&ガーデン」へ

まずビフォアの京都のホテル屋上空間は赤い木製ベンチが並んだビアガーデンです。周囲の美しい山並みを見渡せる良い立地で、真夏も山風が涼しい9階なのですがビフォアの空間は残念ながらあまり魅力的な風情となっていませんでした。

▼ビフォア:屋上ビアガーデン

ここを「憧れの式場、スカイチャペルと&レストランガーデン」に変えて行きます。まずパースと呼ばれる出来上がりのイメージ画を提案し了解を得ます。

▼出来上がりのイメージ画

この後、予算を調整しつつ工事を行い出来上がったのはまさにパースで描いていた華やかなスカイチャペル&ガーデンです。ビフォアからは想像のつかない変化でホテルの方にも使われるお客様にもとても喜んで頂きました。

▼アフター:スカイチャペル&ガーデン

例2.「オフォス」→「ブライダルビューティーサロン」へ

都心、青山通りに面したペンシルビルのワンフロアの何の特徴もないオフィス空間を、花嫁になる方の夢をかき立てるトータルビューティーサロンに創り変えます。
まず、ビフォアはご覧の通り。何もないオフォスです。

▼ビフォア:オフォス

ここがどのように変わるのかパースで示します。

▼出来上がりのイメージ画

そして出来上がりは、パースのままに華やかに、カウンセリング、美肌マッサージ、歯のホワイトニング、アイラッシュ、ネイル等、綺麗になりたい夢を実現する空間に変わりました。こんな場所で美しい花嫁になる夢を見られるのは楽しそうではありませんか

▼アフター:ブライダルビューティーサロン

今回は少し華やかな商業空間の例をお見せしましたが、同じ様な劇的な変化は住空間でも起こります。空間を使う方の事を考え、希望の条件を満たすために地道な調べごとや提案を繰り返して新しい空間が完成した時の喜びを、関わった多くの方々と分かち合うとても幸せな仕事はこれからも続きます。

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