雨端(あまはじ)
2013/04/25
(太田 清一)
皆さんは「雨端」と言う言葉を聞いたことがありますか。
沖縄の民家では深く庇の出た部分を「雨端」と言います(写真1)。日本の伝統的な家屋は深い庇を持っておりこれが外部と内部をつなぐ開放的な軒下空間を作っています。
高温多湿な気候風土に対応する為の環境装置と言って良いでしょう。雨端や庇は日本建築の開放性と相まって梅雨時でも室内を外部空間に対して閉ざさずに生活する事を可能にしていました。(写真2)そしてこのような軒下空間が日本人の住生活に様々な影響を与えてきました。しかし軒下空間のような内部と外部をつなぐ曖昧で開放的な空間が日本の現代住宅から消えているのが現状です。
それには価値観の変化や土地の狭さなどいろいろな要因があると思います。その要因の中に物理的環境の変化、例えば、花粉や黄砂など住宅を開放的に出来ない環境要因もたくさん出てきている事も事実です。
住宅のみのあり方では解決できないもっと大きな様々な環境の問題が私たちを取り巻きつつあります。これからは私たちを取り巻く複雑な環境要因を理解する視点を持って住空間を考えていかなくては快適で安全な住空間は出来ないでしょう。
何とか「雨端」が持っている大らかで優しい空間を現在の環境に対応した形で実現していきたいと思っています。