世界で見つけた驚き ~異文化を楽しもう!~ ヨルダン編 その2
2015/10/02
国際文化学科 杉野 知恵
ヨルダン編2回目となる今回は、ローマ遺跡のお話からです。ヤッラー!
ローマ遺跡と中東
世界遺産に関心がある方は、ヨルダンと言えばペトラ遺跡を思いだすかもしれませんね。ペトラ遺跡には、砂岩の岩肌や崖を彫って作られた様々な建物が、約2キロ四方の岩山の間に立ち並び圧巻です。
ペトラのローマ劇場跡 舞台の音がよく響くようにできています
ペトラ遺跡と言えばこれ!エル・ハズネ(宝物殿)
ヨルダンだけでなく、近隣のレバノン、シリアにも多くのローマ遺跡が残っています。遺跡の保存状態に影響があるかもしれませんが、ほとんどの場合、自由に遺跡の中を行き来できるので、臨場感あふれる遺跡体験ができます。IS(イスラム国)がこうした遺跡を破壊しているというニュースを聞くと残念でなりません。
ヨルダンにはローマ劇場跡がたくさん!
シリアのパルミラ遺跡 今はISの支配下で近づくことすらできない
聖地めぐり
ヨルダンや近隣諸国にはイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の聖地が数多く残っています。エルサレムは、メッカ、メディナに次ぐイスラム教の第三の聖地であり、岩のドームやアル・アクサー・モスクがあります。すぐ近くには、ユダヤ教徒が今も祈る嘆きの壁やキリストのお墓とされる聖墳墓教会などがひしめき合っており、異なる宗教の信徒が行き交う姿を見るとなんだか不思議な気分になります。
イエスが洗礼を受けたというヨルダン川
金色に輝く岩のドーム(イスラム教の聖地)と手前の嘆きの壁
断食とおもてなし
イスラム教は太陰暦(月の満ち欠けを基準にした暦)を用いています。イスラム暦の9月(ラマダーン)には、イスラム教徒(ムスリム)は断食を行います。断食と言っても、1ヶ月全く飲食を絶つのではなく、日中(日の出から日没まで)は一切飲み物も食べ物も口にしません。特に暑い季節の断食は、私たち異教徒からすると想像を絶する世界です。
しかし、ラマダーン中にムスリムを訪ねていくと、お茶やらお菓子やらが用意されます。あれ?断食中では?と聞くと、自分は断食をしているが、あなたはムスリムではないのだからお食べなさいという反応が返ってきます。自分は断食中でも、異教徒のお客さんには飲み物やお菓子をふるまうのが、ムスリムのおもてなしの精神なのです。
次回は、アラブ料理などをご紹介します。お楽しみに!
シリア(ダマスカス)のウマイヤード・モスクの内部