国際文化学科の授業 教員による授業紹介 No. 8 「法学」

国際関係コース 福王 守

「法学」は、私たちの日常生活との関わりから社会の仕組みを学ぶ「共通教養科目」として全学科に向けて開かれてきました。法律学とは、より良い社会を目指して交わされる、人と人との間の約束に関する学問です。前期共通教育科目として、「法学」は特に新入生に向けて法律学の基礎を伝えることを授業目標としています。

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人文学部で法を学ぶ意味は何ですか

人文学部では広く社会、言語、文化、歴史等をバランスよく学ぶことができます。歴史的に、今日の日本の法社会はヨーロッパの近代市民社会を模範としており、これは特権階級による支配からの個人の自由を目指して形成されてきました。法律学において、市民とは人間理性を本質とする「人格」を備えた個人を意味します。特に、一人ひとりの市民を人格の担い手として尊重するという「人間の尊厳(human dignity)」の実現こそが、社会の究極目標として捉えられてきました。裁判員制度は、まさに一般市民の優れた「理性」を司法に反映させる目的で設置されたものです。ですから、人文学部生が広い素養とバランス感覚を養いつつ法律学の基礎を学ぶことは、一市民としてとても大切だといえます。

「法学」では具体的にどのようなテーマを扱うのですか

最初のテーマは「市民社会と法」です。六法書の引き方を覚えながら、法の役割と日本の法体系の起源について理解しましょう。次に、「法のあり方」では、制定法の限界と実務による補完について学びます。関連事例としては、身近に起こりうる結婚、離婚、子どもの戸籍および生活環境をめぐる判例を扱います。3番目は「法の適用」です。いずれ皆さんの多くが一度は裁判員としての経験をすることでしょう。そのことを意識しながら、具体的な刑事事件などを通じて事実認定と法の解釈について学びます。そして、最後のテーマが「法の体系」です。6つの基本法典を性格分けした後に、市民社会の矛盾から生み出された市民間の「格差」について理解し、これを修正するための社会法について学びます。ここでは、生活保護と労働賃金、大企業の独占禁止、さらには児童虐待をめぐる問題について各関連法を通じて考察していきます。

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