2024年度 入賞作品

佳作

中村 奈知「いろどり」

担当教員:小川 弾

あなたにとって「居場所」とは何ですか。東京都町田市を横断する鶴見川沿いは畑が多く残る緑豊かな地域である。散歩をする人、サイクリングをする人、釣りをする人、農作業をする人。当たり前のように過ぎていく日常に「いろどり」を与え、誰かの毎日の居場所となる図書館と子どもセンターと交流施設を提案する。

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担当教員講評

通学途中に自転車で川沿いの気持ちの良い道を走っているという話から敷地が決まった。そして、これまでの暮らしを振り返り"居場所"というテーマにたどり着いた。とても内面的なはじまりである。自己表現としての側面も重なり、提案が他者と共有し得るのか。作者にとって大きな問題だったことだろう。そこをつなぐ大きな役割を果たしたのが、柱と梁をジャングルジムのような格子状に組んだ構造形式ではないかと評価している。ひとの心のように内面的な空間は揺れ動き、定まった形として表現しにくいものである。力強いフレームを頼りにすることで、生き生きと自由で連続的な空間を魅力的につくりあげている。グリッド状のフレームが"まち(他者)との境界"をつなぐ役割を果たした作品となっている。

(評/小川 弾)


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