住空間デザイン学科としての「設計製図Ⅰ」 〜インテリアと建築を総合的に学ぶ基礎を養う〜
2014/09/12
住空間デザイン学科では学科名の改称に先立ち、昨年度より新カリキュラムが実施されておりますが、その中でも特徴的な授業として「設計製図」が挙げられます。
設計製図の授業と言えば、一般的には建築的な設計や製図を行うものですが、本学科ではより住空間に特化し、またインテリア製図との垣根をなくす試みとして、旧カリキュラムでは、2年次に「設計製図Ⅰ/Ⅱ」と「インテリアデザイン実習Ⅰ/Ⅱ」として別々に開講されていた授業を統合しました。これによって学生は、一つの課題を通して建築とインテリアの両面から学び、時には柔軟な発想が求められ、時にはそれぞれの条件の中での問題解決を探ることになります。
このような新しい試みを通して学科の特徴をより知っていただきたく、今年度前期に開講された「設計製図Ⅰ」についてご紹介したいと思います。
1)課題概要
『+α』のある住宅 : 150㎡の敷地に夫婦2人のための住宅を計画する。住宅には店舗や事務所などの一般住宅にはない用途『+α』を含み、この『+α』部分については、インテリア計画と表現を行うこと。
2)スケジュールと進め方
8週:建築全体の計画、作図、模型制作(s=1/100)
6週:『+α』インテリア計画、インテリア模型、展開図、平面詳細図(s=1/30または1/50)
1週:講評会
2名の担当教員は時間の許す限り(90分×2コマ)個別に学生と話し、伸ばすべき点、改善すべき課題などを伝え、その間に他の学生は各自の作業を進めます。学生それぞれの独創性や苦手部分に丁寧に向き合っていくと、休み時間は返上、お昼休みにずれ込んでしまうということもありました。学生にとっては、設計製図の技術的なこともままならない中、オリジナルの空間を提案しなればならないのは、不安で難しい部分もあったかと思いますが、真摯に課題に向き合う姿は座学ではなかなか見られない光景でした。
3)講評会
建築全体の計画からインテリア計画まで全ての提出物を提示し、一人3分程度で発表を行いました。 1年時の基礎ゼミ他で何度か発表を経験しているためか、多くの学生が自身の伝えたいことを発表でき、また、他の学生の発表もきちんと聞くことができていました。実はこの『聞く姿勢』が課題の上では大変重要で、発表を深く聞き取り理解することができれば、短時間で自分が設計したのと同じくらい多くの学びがあると言っても過言ではありません。自分の課題に真面目に向き合えば向き合う程、自然に聞く姿勢も身に付いていくものだと思います。
また、今回の講評会には、授業の担当ではないにも関わらず、茂木先生(建築デザイン担当)と佐藤先生(インテリアデザイン担当)も講評を述べてくださり、学生にとっては非常に大きな刺激になったと思います。
4)学生作品紹介
5)授業を通して思うこと
今回の課題で私自身が一番興味深かった点は、建築とインテリアを両方考えることの難しさとそれ以上の学びがあることです。
例えば、比較的大きな縮尺で建築全体の設計が完成したと思っても、その後にインテリア部分を詳細に考えていくと、もともとの設計で矛盾があることに学生自身が気づくことがあります。そして本来はその修正を建築にフィードバックすべきなのだということ、その繰り返しによってよりよい空間を作って行くことを体感してもらえる機会となりました。
以前のカリキュラムのインテリア実習でも、詳細な模型で表現することはありましたが、模型を単に模型として作ることと、実際にどのような規模の空間なのか、また他の部屋との関係はどうなっているのかを考えて作業するのとでは、非常に大きな違いがあります。たとえどんな小さな空間でも、家具や設備が配置され、人の営みがある空間をデザインしているのだということを、作業の中から体験として学んでくれたことでしょう。そのおかけで、私自身もこの授業の持つ意義を改めて学ばせてもらったように思います。
最後までがんばってくれたみなさん、お疲れ様でした。そしてありがとう!!
住空間デザイン学科教授 三戸美代子