「国際文化学科教員による授業紹介リレー」 開始にあたって

国際文化学科には「国際関係」「英語コミュニケーション」「観光文化」という三つのコースがあり、各コースだけの学びにとらわれない「緩やかなコース制」によって幅広い教養を身につけることを目指しています。では、実際にはどのような授業が行われているのでしょうか。授業を担当する教員がリレー形式でご紹介します。

初回は国際文化の要とも言える科目「異文化理解」を取り上げ、担当の羽鳥修先生がPart 1とPart 2の2回に分けて今年度前期の授業内容を紹介します。羽鳥先生の授業スタイルは、「双方向型」、「学生参加型」です。授業は、一方的に教員が学生に対して講義をするのではなく、常に学生と教員が質疑応答を繰り返しながら進められます。こうした授業スタイルにより、受身ではなく、主体的に学ぶ力をつけていくことになります。

国際文化学科教員による授業紹介リレー No. 1 「異文化理解」Part 1

観光文化コース 羽鳥 修

今年度前期の「異文化理解」では、アフリカ系アメリカ人が歩んだ歴史を植民地時代に遡って概説しました。アメリカは、一方で独立に際して「すべての人間は平等に造られている」と宣言しながら、他方では未だに人種差別が残っているという現実があります。こうしたアメリカの「理念」と「現実」の狭間を歴史的に考察し、差別する人と差別される人に思いを馳せることによって人間関係がどのようにあるべきか、そして日常生活を送る上で自分自身の生き方を見つめ直す機会として欲しい、という気持ちでこの授業をしています。国際化あるいは共生が叫ばれるなか、残念ながら日本を含み世界には依然として差別が残っているからです。ニュースや新聞などで「ヘイト・スピーチ」が問題になっていることはご存知でしょう。

「異文化理解」を担当している教員として、2013年はいろいろと考えることの多い年です。今から50年前の1963年8月28日、アメリカ合衆国の首都ワシントンDCに20万人以上の人が集まりました。これが、いわゆる「ワシントン大行進」(正式名称は「仕事と自由のためのワシントン行進」)で、授業ではその経緯を説明するとともに、当日の様子をドキュメンタリー・ビデオで観ました。

さて、ワシントン大行進は、1863年にときの大統領エイブラハム・リンカンによって奴隷解放宣言が公布された100周年を記念して行われました。ですから、ワシントン大行進の最後に行われたマーティン・ルーサー・キング牧師による「私には夢がある」の演説が行われた場所は、リンカン記念堂の前でした。

その後差別撤廃を目指してどのような動きがあったかについては、次回の「異文化理解Part 2」で紹介します。

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