【地元発見プロジェクト】「大学付近の歴史資料を訪ねて」を実施しました
2025/06/26
博物館学芸員養成課程の専攻選択必修科目「歴史資料論」は、歴史資料の扱い方や読み方を身に付け、歴史資料を根拠として地域の文化を客観的に理解することを学修目標とした授業で、2年生以上が履修可能です。この科目では、歴史・民俗系の地域博物館の学芸員に必要な知識や技能が修得できます。
通常の授業では、大学が所在する東京都稲城市に残された歴史資料を、受講生の皆さんと一緒に読解・考察しています。具体的に取り上げている歴史資料は、旧稲城村役場で保存されてきた『神社明細帳』『寺院明細帳』という寺社の調査記録や、稲城市平尾の鈴木家に伝えられた「村のしるべ拾遺鈔」という地誌、鈴木家の当主が書き残した明治時代の「農事日記」、この地の領主が鈴木家に宛てた江戸時代の手紙などです。
こうした普段の学修を踏まえ、5月24日(土)に【地元発見プロジェクト】「大学付近の歴史資料を訪ねて」と題して、稲城市内の関連する寺社や史跡などを、受講生の皆さんと訪れました。
大学を徒歩で出発した私たちは、まず『神社明細帳』『寺院明細帳』で読解した稲城市坂浜の高勝寺と天満神社に向かいました。天満神社は江戸時代に当時の領主が創建した神社で、大学のある稲城市坂浜の土地を守護する鎮守の社です。
天満神社にて
つぎにバスに乗り、稲城市平尾の杉山神社を経て稲城市郷土資料室を見学しました。郷土資料室には、授業で取り上げている『鈴木家文書』や『神社明細帳』『寺院明細帳』も所蔵・展示されており、受講生の皆さんは、実物の歴史資料を真剣に観察していました。
稲城市郷土資料室にて
再びバスで移動した後、「村のしるべ拾遺鈔」に叙述されている平尾十三塚や入定塚の現状を確認し、小田急線の五月台駅で解散しました。以下は受講生から寄せられた感想の一部です。
- 天満神社では、社殿に向かう階段の手前に石坂供養塔が建てられており、当時の人々の信仰のあり方を知ることができました。
- 徒歩での移動ではアップダウンが多く、大学周辺の多摩丘陵が谷戸の多い地形であることや、天満神社が見晴らしのよい高所に建てられていることなど、実際に訪れてみないと分からないことがたくさんありました。
- 歴史的に価値のあるものは、意外と身近にあるものだと感じました。歴史を学ぶとなると、教科書に載っているような有名なものばかりに注目してしまいますが、身近にあるものからも歴史を学ぶことができることや、調査や研究をすれば身近なものの価値が発見できることを、忘れないようにしたいと思いました。