04:2年生がテレビスタジオの空間演出を見学してきました。
2015/07/30
2年次必修科目「基礎ゼミⅢ」の授業で、(株)テレビ東京アートのアートディレクター宇野氏にご案内いただき、テレビ東京のスタジオ見学をしてきました。
虎ノ門スタジオのある城山ガーデンに集合した後、いよいよスタジオ内に入り、スタジオ2つと隣接する大道具倉庫を見せていただきました。特に今回、テレビ東京系で毎朝月曜〜金曜まで放送されている『おはスタ』のセットが実際に組まれているスタジオを見学させていただき、テレビで観ているよりも小さなスタジオ内には、テレビのプログラムやカメラを意識した工夫がたくさんあることがわかりました。また、『おはスタ』のセットがどのようにして出来上がったかについての講義では、デザイン決定までの流れや、裏話などについてなどお話を伺える貴重な体験となりました。
テレビ東京虎ノ門スタジオのある城山ガーデンに集合
学生は見学後に各自が着目した点2つについてレポートをまとめました。一部をご紹介します。
学生コメント
- 尾島美穂
(前略)次に印象に残ったのは、美術担当の方の情熱です。長らく担当された番組のセットをコンペで勝ち取ったと言われていましたが、その美術セットは見るだけで楽しい番組だと伝わるような素敵なものでした。制作の方から出された希望をすべて詰め込み、自分の考えも折り込み作品にしていくのは、とても大変な作業だと思います。私も課題を講義で出された際に、課題ばかりに気を取られ、自分の考えを取り入れられなかったと反省することが多々あります。学生である私は、ものをつくりだすのにトータルで半年ほどかかり仕上げているのに対し、美術担当の方はたった2、3か月でセットを考え、予算や修正を繰り返し作っていらっしゃるとお話を聞いて、とても素晴らしいと感動しました。
今回の見学でデザインの可能性、デザインされている方の情熱などを学べたのは良い経験でした。今回の見学会が、今後の自分のデザインに対する考え方を少し変えてくれたように感じました。
集合後、宇野さんより説明をうけます
- 菊地佳奈
(前略)尺貫法もとても興味深く驚きの連続でしたが、一日にスタジオが三回転して入れ替わることがあるという宇野さんの一言に驚きが隠せません。それ故、効率の良い尺貫法が必要となってくるのでしょう。それだけでなく、ただイメージにあったスタジオをつくれば良いということでないのだということを改めて感じました。すぐに解体できるか、使い回しできるか、コストは上限を超えないかなど、考えなければいけないことだらけです。それらを上手に考えながら、時には妥協しながら、宇野さんたちの試行錯誤と努力の塊がこうして番組スタジオとして、テレビに映し出されるものとして存在しているのだと思います。また、こうしたことはテレビ業界だけでなく、建築業界、会社、学校などさまざまな規模においても現れることだと考えます。自分自身にも、いろいろなことを配慮した上で、何かを作り出す場面が訪れたとき、宇野さんのお話を頭の隅に置いてすぐに引っ張り出せるようにしておきたいです。 - 小林洸子
(前略)実際にスタジオのセットを作る現場では、メートル法ではなく尺貫法を用いている点である。今現在、我々が生活の中で用いる長さの単位はおおよそメートル法で統一されている。だが常に新しい情報の発信源であるテレビ局のスタジオの制作現場では、尺貫法を用いている。理由は諸説あるが、昔日本で行われていた能や演劇などの舞台で用いられていた単位を引き継いでいるからという説が有力なのだそうだ。我々が見学したテレビ東京のスタジオでは、一辺一尺掛ける二尺の高さ五寸の箱馬と呼ばれる台を使ってひな壇や足場を組んでいる。更に話を伺うと、箱馬の寸法はテレビ局によって若干異なるのだそうだ。その他にもスタジオの床に敷き詰められているタイルも一辺一尺の正方形であり尺貫法を用いているのである。このように技術が発展していく中でも先人達が築いた良いものはしっかりと受け継いでいるということを学んだ。 - 塚本彰子
(前略)二つ目は、照明がもたらす効果についてである。テレビでは照明で全てが決まるそうだ。番組によって照明の当て方や色、動きが異なる。そのためまず、番組のコンセプトに沿った照明を配置計画し、パソコンを用いてシミュレートし微調整をする。そうしてシミュレートをした後に、組み立てたセットで実際に照明を当ててみる。照明の当てかた一つで番組がより良くなることもあれば、駄目になってしまうこともあるというお話があった。実際にスタジオ見学をして全ての照明が同じ方向を向いているのではなく、セットを照らしたり、壁を照らしたりと様々な反射を利用することでスタジオ全体を明るくしているということがわかった。
住宅の空間や店のディスプレイでも照明が与える効果は大きい。これから空間を演出する際は、空間や商品をより魅力的に見えるような照明の選択や配置を検討したい。照明の重要さを改めて認識することができ、とても勉強になった。
最後にスタジオ前で記念撮影