立川市子ども未来センターを見学してきました〜橘田ゼミ〜

7月10日金曜日午後、炎天下の中、
4年生の橘田ゼミ7名(石堀、片田、門岡、鈴木、西村、桃井、若杉)と神村ゼミ伊藤さん+橘田は、立川市にある「子ども未来センター」の見学&レクチャーに行ってきました。
立川市子ども未来センターは、旧立川市役所をリノベーションした施設で、2013年にオープンしています。

大変にぎわいのある施設になっており、中でもユニークなのは、コミュニティデザインというデザイン手法を実践しているデザイン会社が運営にかかわっており、地域のNPOや住民の活動の潤滑剤として機能していることでしょう。
今回は卒業研究のヒントとなるリノベーションデザイン、施設計画、ハードソフトを含めた地域活性化の仕組みなど、大いに勉強になりました。以下2名のゼミ生の声をご紹介します。
お忙しい中、レクチャー&施設案内をしていただきましたstudio-Lの洪華奈さん、どうもありがとうございました。

  • 芝生広場から建物をバックに。いざ見学スタート。
    芝生広場から建物をバックに。
    いざ見学スタート。

学生コメント

空間造形学科 4年 桃井響子

今回私たちは、studio-Lの洪華奈さんにお話を伺いました。
studio-Lでは「コミュニティデザイン」というデザインワークをおこなっているそうです。コミュニティデザインとは、地域の課題を一緒に考え改善し支援していく活動のことです。
まず、地域の方々に話を聞き、問題点などを引き出します。
次にワークショップの中で、先ほどの問題点をみんなでまとめていきます。
さらにチームビルディングといい、ゲームなどを行いながら、これから一緒に活動していくチームみんなの絆を深める作業をするそうです。最後に活動の実践になります。
一つの活動が成功して終わりではなく、その後も地域のためにたくさんの活動を続けていきます。
立川市子ども未来センターは、そのコミュニティデザインの考え方を運営の一部に取り入れた施設だそうです。

  • 協働事務室にて、studio-L洪さんよりレクチャーを。みんな真剣に聞いています。
    協働事務室にて、studio-L洪さんよりレクチャーを。みんな真剣に聞いています。

建物の前には緑いっぱいの大きな広場があり、親子で遊んでいたり学校帰りの子どもたちが元気に走り回っていました。大きな木も何本かあり、今ではなかなか見る機会も少なくなった木登りをしていたりと、子ども達にとっては周りを気にせず元気に遊べる場所だと感じました。ここの広場でお弁当を食べている親子もいました。
とても広い空間なのですが、自分の子どもがどこで何をしているかが一目でわかるので、親にとっても安心できる場所だと感じました。

  • 芝生広場をみながら、洪さんのお話に聞き入って。
    芝生広場をみながら、
    洪さんのお話に聞き入って。

お話を伺った部屋「協働事務室」は、計画当初、机も椅子も会社に置いてあるようなものだったそうですが、みんなの意見で写真のような家具に変えられたそうです。家具ひとつ別のものに変えるだけで雰囲気がガラッと変わり、あたたかい感じの部屋になっています。窓も大きいので光がたくさん入ります。

壁をみると、意見やアイデアを書いた紙がたくさん貼られていました。改善されたものは、はがしていくのだそうです。
施設の中には「立川まんがぱーく」というものもあり、乳幼児は無料、小人は200円、大人は400円で漫画や絵本が読み放題です。小さな子どももたくさん来るので図書館のように静かな場所ではありませんが、親と子どもにとっては周りを気にせず楽しめる場所だと感じました。中には個室のような空間もありました。個室の空間はとても人気があるそうで開館よりも前に並び、場所を取る人もいるそうです。そこでは好きな漫画をまとめて読む方や、勉強をしたりする方もいました。ロッカーもたくさんあり、近くには係りの方もいるので、たくさん荷物がある方でも安心です。

  • 協働事務室をテラスから。温かみのある家具が素敵。
    協働事務室をテラスから。温かみのある家具が素敵。

「カフェスペース」は無料なので誰でも入ることができます。まんがぱーくの料金を払っている方は、パーク内でもこのカフェの飲食ができるそうです。

  • まんがぱーくに併設されたカフェにて、みんなメニューに釘付け。
    まんがぱーくに併設されたカフェにて、
    みんなメニューに釘付け。

今は地域の方たちとの繋がりが少なくなってきていると思うので、こういった施設がもっと増えていくといいのではないかと感じました。

空間造形学科 4年 片田美里

私たちは今回、立川市子ども未来センターの見学に行ってきました。
この施設の案内をしてくださったのは洪華奈さんというstudio-Lの方で、studio-Lという会社はコミュニティデザインを実践する会社です。
コミュニティデザインの概念は、自分たちの町の問題を自分たちで解決するというもので、この会社ではアイデア、実行力、支援の仕組み、という3つをサポートして、最終的に地域の人たち自身で運営できるように自立させていく仕組みを作っています。
立川市子ども未来センターも同様に、自分たちの街の問題を自分たちで解決するための施設として作られ、その運営の一部をstudio-Lさんが請け負っています。

この施設は旧立川市役所で、2012年12月に建物が出来上がり、翌2013年3月にグランドオープンしました。この施設はにぎわいの創出、市民活動支援、子育て教育支援、文化芸術の支援、行政機能の補完、という5つの機能があります。
にぎわいの創出では、立川まんがぱーくという漫画喫茶のような図書館や、月に1回以上行われる広場でのイベントなどがあります。
市民活動支援では、市民活動のコーディネーターが市民活動団体の支援を行っていて、市民の活動の舞台となるように、主にプログラムの企画や実施サポート、情報発信やPR活動のサポート、団体同士のコーディネート、各関係団体との連帯や調整を行っています。
子育て教育支援としては、子ども総合受付から子育て広場、一時預かり、就学相談まで様々な機能があります。
文化芸術の支援としては、広々とした会議室や、半年先まで予約いっぱいの音楽活動やダンスができるスタジオ、創作活動に便利なアトリエなどの施設の貸し出しから、文化芸術の教室や講座なども行っています。

そして行政機能の補完としては、以前立川市役所だったため、今でも連絡所として一部の行政機能があります。
市民活動は登録制になっていて、現在約60団体が登録していて、立川というアクセスの良い街だからなのか、60団体のうち約2割は立川市外の団体だそうです。
ベビーヨガや寺子屋みたいに学習を支援する会から、フリーライブ『オトナリ』と街歩きを融合したイベントなどたくさんのイベントがあり、私もぜひ参加してみたいと思いました。
以上のような洪さんのレクチャーをうかがってから、実際に施設をまわって説明をしていただきました。

  • 地下のstudioは予約で大人気。
    地下のstudioは予約で大人気。
  • 洪さんのお話聞きながら、あちこちきょろきょろ。
    洪さんのお話聞きながら、
    あちこちきょろきょろ。

まず、普段は安全面から立ち入り禁止とされている屋上を見せていただきました。普段は解放されていませんが、イベントで使われたりするそうです。
また、廊下を歩いていて気付いたのですが、各機能の部屋に行くために色別のサインが床にあり、子どもやこの施設に訪れた人はその色をたどって行けるような工夫が施されていました。

  • 廊下の床には各施設ごとの色分けされた誘導サインが。子どもたちはこんな感じでサインで遊んでます。
    廊下の床には各施設ごとの
    色分けされた誘導サインが。
    子どもたちはこんな感じで
    サインで遊んでます。

ほかにも会議室などの家具やインテリアは親しみのあるウッド調であったり、とても素敵な空間になっています。
次に2階にある立川まんがぱーくに向かいました。パークの壁には『のらくろ』というキャラクターが描かれていて、なぜ『のらくろ』なのかと聞いたら、この施設にのらくろの原本を寄贈してくださった方がいたからだそうです。
このまんがぱーくとテラスが繋がっていて、テラスで食事したり勉強することも出来ます。テラスの床は少し弾むようになっていて、これは子どもが楽しめるように配慮しているのだそうです。

  • 子供にやさしい弾力のあるテラスデッキ。いろんな人たちが集っています。
    子供にやさしい弾力のある
    テラスデッキ。いろんな人たちが
    集っています。

テラスは協働事務室という市民活動団体の打ち合わせや、準備をする部屋や、会議室とも繋がっていて、協働事務室で企画を行う際に机でテラスと中を繋げた空間にすることも出来ます。
テラスの横の階段から外の広場に出ることもできます。

  • 芝生広場に向かって伸びている2Fからの階段。子どもたちがじゃんけん遊びをしているのを真似て。
    芝生広場に向かって伸びている
    2Fからの階段。子どもたちが
    じゃんけん遊びをしているのを
    真似て。

広場はとても見晴らしがよく、子連れの方がピクニックをしていたりして、子どもが元気に駆け回っている姿が印象的でした。この広場にはもとは市役所の別館が建っていたのを立川市子ども未来センターをつくるときに壊して芝生にしたそうです。
次に1階を案内していただきました。1階は子育て教育支援の部屋が多く、入りやすくてプライバシーも確保されているような造りになっていたように感じました。
地下に行くとギャラリーやアトリエがあり、廊下には石田倉庫アトリエと子どもたちの共同作品のカッティングシールの作品が壁一面に貼られていて、フロア全体が芸術に触れ合えるような気になる空間でした。

私の街にもこのような施設はありますが、その施設を利用したことがあったかと考えた時に悩んでしまいます。しかしこの立川市子ども未来センターは小さい子、小中学生、高校生や大学生、大人の方々と、とても多くの方々が来ていてとても愛されている施設であるように思いました。施設がこのように上手く機能していることがとても微笑ましく思えました。

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