フィールドワーク -大谷石が繋ぐ現代建築の流れ-

フィールドワークは伝統的建築、現代建築等を地方に訪ね、芸術、工芸、食文化等に実際にふれる事により、地方における衣・食・住の生活文化を調査研究する事を目的とした授業です。
今回は栃木県に行きました。最初に古代遺跡のような大谷石の採掘場を見学しました。
大谷石はそのやわらかい色合いや質感、加工のしやすさから建築材料に多く使われています。

  • 大谷石採掘場
    大谷石採掘場

現在名古屋の明治村に一部が保存されている旧帝国ホテル(1923年竣工)のデザインは大谷石が無ければ成り立たなかったデザインです(「明治村 帝国ホテル」で検索してみてください)。
その大谷石を使って旧帝国ホテルをデザインしたのが20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトでした。彼もこの採掘場を訪れています。

そのライトと共に日本で旧帝国ホテルの設計に協力し、その後日本に長く住み、日本の現代建築に大きな影響を与えた建築家がアントニン・レーモンドです。
彼が設計したイタリア大使館の夏季別荘(1928年完成)が今も日光、中禅寺湖のほとりにイタリア大使館別荘記念公園の中に保存されています。今回のフィールドワークでも見学に行きました。今もその軽やかなデザインは全く古びていませんでした。

  • 旧イタリア大使館別荘(アントニン・レーモンド)
    旧イタリア大使館別荘(アントニン・レーモンド)

現在、世界的に著名となった建築家、隈研吾デザインの宝積寺駅舎も見学に行きました。
そこで現代的な方法で大谷石を使った隈研吾デザインの建築を見ました。

  • 大谷石を軽快な壁素材にしたデザイン(隈研吾)
    大谷石を軽快な壁素材にしたデザイン(隈研吾)
  • 大谷石を軽快な壁素材にしたデザイン(隈研吾)
    大谷石を軽快な壁素材にしたデザイン(隈研吾)

今回、大谷石をめぐって著名な3人の建築家の作品を見ることで建築の歴史の流れを改めて考えさせられたフィールドワークでした。

住空間デザイン学科教授  太田清一

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