2014年「国内旅行研修」~添乗員・ガイドの仕事を実体験しよう!〜
2014/11/11
「国内旅行研修」は旅行業界で、その歴史や実績でも定評あるJTBの現役社員を講師に招き、旅行業界の現状の取り組みや課題を学びながら、顧客への旅行プランの提案から実際の添乗業務までを経験する実践的な授業です。
観光文化コースの学修ポイントのひとつである「ホスピタリティー」が凝縮されている授業とも言えます。実現可能で顧客満足度の高い旅行プランの作成や、ツアーの運営・実施までを実際に体験し、座学だけでは得ることが難しい「実感」の時間として位置づけられています。
履修学生は2~4年生で、教室での授業だけでなく、例年学生からの評価が高いJTBコーポレートセールス本社での研修と、実務としての箱根研修旅行を本年も実施しました。
同本社訪問では、学生各自が職場に失礼のない服装で参加しました。実際の業務が社内でどのように分担され、連係しているのか自身の目で見て、知るだけでなく、オフィスの環境から職場内の雰囲気まで体験することも、本授業では重要であると考えています。学生達は緊張の中、世界各地の都市名がつけられたミーティングルームの一室に案内され、レクチャーを受けました。どの学生も、目を輝かせて聞き入っていました。
さて本授業の「まとめ」とも言える箱根研修旅行は、JTBで添乗員を指導する立場にあるベテラン社員が、出発から解散まで学生に密着して実地指導をするものです。
旅行会社の添乗員が日常業務で行っている、ツアー実施に必要な資金と業務用スマートフォンを学生が責任を持って預かり、支払いと領収書の受け取り、訪問予定先のレストランや施設への事前連絡や確認なども学生が分担しながら行いました。
食事であっても事前に「アレルギーのある方へのメニュー変更はどうなっていますか」「先方への連絡は何時までにしますか」、食後には「おかずは何品ありましたか」「食事の内容はどう評価できますか」「お年寄りや子供にとってはどうでしょうか」など質問が発せられるので、学生達が気を緩める時間はありません。
全行程の指導をいただいたJTBのベテランも、夕食後の引率教員との打ち合わせでは「日常の添乗業務のほうが、ずっと楽です」と話しながらも、笑顔を見せていました。
1日目の指導と経験が功を奏して、2日目になると学生達は添乗業務の基礎を習得してきて、スムーズなツアー進行になって来ました。
朝食後のチェックアウトも無事に済ませ、箱根観光の代表的なスポットを巡りました。もちろん担当の学生は、各地での支払い、事前連絡や引率と説明だけでなく、バスの中での研修指導も初日同様です。
昼食後の最終訪問先である箱根富士屋ホテルでは、由緒あるクラシックホテルの伝統と行き届いたホスピタリティーの精神に触れ、一流ホテルの業務とそこで働く人達のプライドを知ることができました。対応していただいたベテランホテルマンに、質問や感想を直接語りかけに行く学生もいました。
夕刻のサービスエリアでの休憩を終え、後は1時間で学園に帰るというころには、バス内での研修も緩やかになったせいか、はたまた初めての研修疲れからか、「船を漕ぐ」学生が出てきました。この1泊2日を引率した教員も、学生達の真剣な取り組みを見てきたので、声をかけることはできませんでした。
この研修は学生各自が「何かを感じ」「何かを考え」実践した、実り多い1泊2日であったと言えるでしょう。
学生諸君は自ら考えよく頑張りました。
ご協力いただいた皆様には、ここに改めて感謝を申し上げます。
学生達の声
- 単に友人の誘いで履修した科目でしたが、毎回の授業も楽しく、旅行業界に対する興味が湧きました。(2年生)
- 授業は職業人の生の声を聞くことができ、緊張したが楽しかった。(3年生)
- 顧客の抱えている課題と、そのニーズに対応するのは難しいことだと感じました。コミュニケーションの重要性もあらためて分かりました。(3年生)
- 旅行会社の職場の雰囲気や、そこで働く人達を実際に見るだけでも、貴重な経験でした。以前から興味のある業界でしたが、ますますその気持ちが強くなりました。(2年生)
- 会社訪問では、複数の部署で連携しながら仕事をしていることを見ました。お客様だけでなく、社内でもコミュニケーションが重要だと思いました。(4年生)
- 先日サークルで旅行に行ったのですが、幹事をした私はスムーズに行程を運べませんでした。この箱根研修旅行を先に経験していたら、もっと旨くできたと思うと、悔しい気持ちです。(3年生)
- バスの中や訪問先で大勢の前に立って話すことに緊張しました。考えたこともなかなか表現できませんでした。一人で多くの仕事を進める添乗業務の難しさが分かりました。(2年生)
- 班のメンバー6人で研修を分担しましたが、普段一人で添乗業務をこなすということは大変な驚きです。自分が気付かないこともご指摘いただき、ありがとうございました。(2年生)
- 添乗業務は休み無く旅程を先読みし、お客様だけでなく関係先や同行スタッフまで注意・気配りすることが重要なことだと分かりました。(4年生)
国際文化学科 平野 国男